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「海っ、」
眩しいくらいの午後の日差しで
真っ白く光る海の上には
珍しく都心に舞う雪が
キラキラと踊っていて
白浜みたい、、
最後に見た円月島が
向こうに見える江ノ島と重なる。
ほら、、
また、、
ぶり返すことなんて
一瞬で出来てしまう、、
「有馬、」
心地いい川上くんの声を捉えたのと同時だった。
「っか、川上くん、ちょ、」
「有馬っ、乗り換え！
もう来てるっぽいから急ぐよ！」
「え、あ、えぇ！？」
企み顔で笑う彼に握られた手は
咄嗟過ぎて振り払うことは出来ず
ただ目の前を走る彼を追うことしか
私には敵わなかった。
向側のホームへと続く階段を
猛スピードで駆け上がって行く川上くんは
なんだかとっても楽しそうで
繋がれた右手が尋常じゃないくらい熱くて
何でこんなに火照っているのかなんて
考える余裕なんて与えてくれなくて
でも、何でだろう、、
川上くんなら、、
川上くんなら、大丈夫って
川上くんなら、平気だって
何で川上くんならって思うんだろう、、
「っはー！ ギリッギリ！笑」
ドアが閉まる直前で飛び乗った急行は
やっぱりこの時間帯だからか人気が少なかった。
「も、ちょ、はやっ、」
「ふはっ、有馬、息上がってんじゃん！」
「っ！ 速かった、んだもんっ！」
「間に合ったんだし、いーってことで」
「よ、良くないよ！」
「あー、はいはい笑
とりあえず、座ろ？」
そう言いながらも繋いだ手を離そうとしない彼に
引かれながら窓の外がよく見える席に腰を下ろす。
「あ、、見えなくなっちゃった」
発車した車窓からは
軒並む住宅と僅かな緑だけが過ぎて行って
さっきの眩い海は忽然と消えていた。
「割とすぐ見えてくるよ」
「え、」
「、、海、だろ？」
「、、ん」
「あと3、4駅かな？
もう少し、我慢、な！」
「っうん」
楽しそうに笑いかけてくれる川上くんにつられて
私まで何だか柔らかい気持ちになっていく。
あと、もう少し、かぁ、、
ドキドキする
あ、、
そういえば、、
「っ、手、」
「有馬？」
手、、繋がれたまんま、、
熱い
なんで、こんなに、、
こんな、、
左胸が煩いのに
右側だけ凄く火照ってるんだろ、、
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作者名：蒲公英 | 作成日時：2018年1月26日 4時
