...29.M ページ30
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遠くを見つめながら
ふわりと微笑んだ有馬は
何だかこのまま消えてしまいそうで
このまま何処か遠くへ飛んでいくんじゃないかって
そんなこと思えるぐらい何だか儚げで
「海、見たいなぁ、、」
海、か、、
ここからなら何本か電車乗り継げば
すぐに海なら見れる
ふわりと笑った有馬が
ハラハラと落ちる髪を耳に掛けた時
柔らかく甘い香りが鼻をくすぐった。
懐かしい匂い、、
何だったかな、嗅ぎ覚えがあるけど、、
あぁ、昨日、学食で嗅いだ気がする
あれは、そうだ、、
「、、杏仁豆腐」
「え？」
「え、あ、その、ごめん」
咄嗟に口に出してしまった言葉を
有馬は拾ってくれて「お腹すいたの？」と
柔らかく微笑んだ。
「白井くん、朝ごはん食べてこなかった？」
「や、食べました、、食べたんだけど、」
「食べたんだけど？」
「や、その、、」
言っていいものなのか、これ、、
女子に香りがどうのとかって
デリカシーに欠けるような気がする。
でも、いい匂いだな、、
いや、でも、、
、、杏仁豆腐の香りがする香水なんてあるのか？
「有馬さん、香水つけてる？」
「え？ つけてないけど、、
え、私、臭う？！」
「いや、違うくて、その、、
なんかいい匂いするなと」
「え、ありがとう、嬉しい〜」
「ん、なんか美味しそうな香りがする」
「えー、あ！杏仁豆腐って、、
あぁー、そういうことかぁ〜」
「え、」
「ふふっ、同じようなこと
転校初日にも言われたなぁと思って」
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作者名：蒲公英 | 作成日時：2018年1月26日 4時
