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「失礼しました」
有馬の靴のサイズを聞き忘れて
借りるのにだいぶ苦労しながらも
察してくれた何処かの担任の女の先生が
有馬のサイズを調べて貸してくれた。
職員室を後にして生徒玄関に向かう途中の廊下ですら
吐き出す息が白く染まる。
有馬、寒いだろうな、、
今にも泣き出しそうに綺麗な顔を歪ませながら
それでも笑う彼女に、初めて影を見た。
何であいつ、笑ってられんだろ、、
「有馬ー」
生徒玄関に差し掛かったくらいで彼女を呼ぶと
ぴょんっと名前を呼ばれた猫みたいに
振り向く有馬が見えた。
「ふはっ、有馬、猫みたいだな笑」
「ちょ、杏仁豆腐の次は猫なの？」
「んはははっ、何、杏仁豆腐、根に持ってんの？」
「ち、ちがうよ！
それに、杏仁豆腐じゃなくてアプリコット！」
「はいはい笑」
ほら、
普通に笑う方が似合ってんじゃん、、
なのに、なんで、我慢してまで笑うんだよ
「ん、冷えちゃうから早く履き替えなさい」
「何で命令口調なの」
「細かいこといちいち気にすんなよ、ほら」
借りてきた上履きを有馬に手渡すと
彼女は少しだけ耳を赤くしながら
つんっとした態度のままだったけど
ぼそりと�爐△蠅�とう�瓩頒譴い討�れた。
「ん、よし、履いたな」
「、、ありがと、」
「どういたしまして」
ぼそぼそと照れながら口籠る有馬は
貼り付けたような笑顔の時よりも
ずっと自然な表情をしていた。
「でも、ごめんね、遅刻になっちゃったし、、」
上履きを履き終えた有馬は
そう言うと俯きながら謝ってきた。
どうせ遅刻だったし気にしなくていいんだけど、、
なんなら1時限目現国だし眠いし、、
「気にしなくていいよ、
どうせ遅刻扱いだったろうし笑」
「、、でも、」
「もうどうせ遅刻だしさ、暖房効くとこ行こ」
「や、私は、」
「はい、決定」
「え、あ、ちょっと、川上くんっ！」
渋る有馬の腕を引いて
俺は暖房の効く部室である
音楽準備室へと歩いた。
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作者名：蒲公英 | 作成日時：2018年1月26日 4時
