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ー、、普通に笑ってろよ
そう心地の良い声で言った川上くんは
たわいもない彼の独り言に付き合わさせ
挙げ句の果てには私よりも先に居眠りしていた。
そのまま眠りこけた彼は
日向ぼっこしながら気持ち良さげに寝る猫みたいで
時々ピクッと身体を震わせていて
熟睡してるのが手に取るようにわかった。
授業が終わっても起きる気配のない川上くんを
起こそうと、何度か思っては見たけど
辞めた。
起こすのは私じゃないほうがいい、、
そうしてお礼を言うタイミングを
完全に見失ったまま数日が過ぎて
あの日から川上くんとは
挨拶を交わす、それだけの関係になった。
厳密には、それしか出来なくなった。
それしか、許されなくなった。
四六時中刺さる好奇な目線が増えた頃
膨れ上がった噂話は更に膨張していって
目に見える嫌がらせが始まりだした。
いつ始まってもおかしくなかったそれは
誰かが引き金を引いた瞬間に
面白い速さで勃発した。
しょっちゅう無くなる体操着。
頻繁に消えては出てくる教科書類。
手元に戻ってきた教科書には
よく�牋�乱�瓩鉢犁△讚瓩判颪�れてあって
笑いが込み上げるくらい可愛い嫌がらせばかり。
でも、一度だけ英語の教科書が無くなって
トイレに流されていたのを見つけて
拾い上げた時に書かれてあった
�猴諒燭�んに取り入るつもりなんだ��
その一行を目にした時から
川上くんと一定の距離を保つようにした
そう言うのに何だか敏感だった川上くんは
何か感じ取ってくれたみたいで
挨拶以外は話しかけてこなくなった。
それでも誰も声すらかけてくれない中で
川上くんだけだった。
毎日、欠かさず、挨拶をしてくれるのは。
それだけでも救いだったのに、、
救いだったのに、、
「、、やられた」
嫌がらせの頻度が急激に加速した次の日の朝。
下足箱を開けた瞬間に
真っ白い花でも散ったように
汚い言葉で書き染められた紙屑が舞った。
そこにあるはずの上履きは姿を消していて
あるのは大量の紙屑と膨大な叱咤憤怒。
やられた。
体操着が消えたら体育を休めばいいし
教科書が無いくらいなんとか凌げたけど
上履きは対処のしようがない、、
「、、何してんの」
こぼれ出たため息は何を思ったのか
やっぱり1番会いたくなかった人を
連れてきてしまった。
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作者名：蒲公英 | 作成日時：2018年1月26日 4時
