泣き虫ピエロとの約束 (ページ50)

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ⅳⅹⅸ ページ50

｛じゃあ新人のみんな、1人ずつ自己紹介していこうか！｝

歓迎会あるある。

絶対自己紹介させられるだろうと見込んで、言いたいこと考えて来ておいて良かった。

羽奈の順番は、4番目に回って来た。

『滝沢羽奈です。好きな食べ物は奈良漬けです。これを言うといつも、渋すぎる、とか年誤魔化してるんじゃないの⁉って言われます。でも、正真正銘22歳です。笑こんな私ですがよろしくお願いします』

拍手と共に、少しだが笑いも取れた。

良かった…噛まずに言えた

ちらりと斜め前に目をやると、嫌なほどの熱い視線を感じる。

いつも何かとしつこくて、距離が人より近い気がして、どうも苦手な上司、高崎だった。

思わず視線が合ってしまうと、ニヤリと微笑まれた気がした。

何か、気味が悪かった。

歓迎会は無事に楽しく終わり、明日は休みだし二次会に行こうという話で盛り上がった。

だが羽奈は、二次会に行くつもりもないし、あるとも知らなくて晃一にも話をしていなかった為、明日朝早いからという嘘をついて帰ることにした。

二次会へと向かう上司や同期を見送り、晃一に終わったと電話をしようとした、その時だった。

｛ねぇ、何で行かないの？寂しいなぁ～｝

高崎だ。

『え？えっと…』

｛誰に電話するの？もしかして男？｝

ジリジリと壁に詰め寄られる。

二次会行くんじゃないの？早く行きなよ

心の中で叫ぶけど、声に出せない。

｛やっぱ二次会行くのやめて、滝沢さんと一緒に行こうかな～良い所｝

『…良い、所？』

｛決まってんじゃん｝

｛ホテル｝

『⁉』

何言ってんだこいつは

気持ち悪い

どうしよう

みんな、二次会に行くと大盛り上がりで、この状況に全く気付いてくれない。

むしろ、もうみんな遠くに居る。

と、ガシッと手を掴まれた。

｛ね？いいよね｝

終わった

助けて、こーちゃん…

ギュッと目を瞑った

あの、何やってんすか

急に横から声がした。