泣き虫ピエロとの約束 (ページ39)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:15,737 hit

ⅲⅹⅷ ページ39

〔…⁉羽奈ちゃん？〕

『あ！お仕事お疲れ様です』

〔晃一ならもう帰ったよ？〕

『いや、あの今日は、小笠原さんに用がありまして…』

〔ん？俺に？〕

実は

《それかさ、わたしいい案があるんだけど》

『ん？何？』

《吉野さんとさ、あと1人研修医の人いたじゃん、小笠原さん？だっけ》

『うん、小笠原さん』

《その人に相談してみたら？》

『…あー、』

《吉野さんのことについてよく知ってそうだし、あの人、すごく親身になって話聞いてくれそうだし》

『杏さ、小笠原さんに会ったことあるっけ？』

《ん？直接は無いけど、羽奈のお見舞いに行った時に、あら、イケメンがいると思って目つけてたの。でね、その人、患者さんに対しての対応がすごく良くて。それで覚えてたの》

『さすが、イケメンハンターは違うね。笑』

《わたしを舐めたらダメよ。笑》

と言う会話が繰り広げられていたのだった。

.

『ちょっと、相談があって…』

〔ん？晃一と上手くいってない、とか？〕

『え？あ、いや…そういうことではないんですけど…』

〔そっか、なら良かった。んー、ここじゃ何だから、どこかお店入ろうか。あ、晃一に怒られるかな。笑〕

『え⁉…あ、〔ごめんごめん冗談。そんな小さい男じゃないよ晃一は。笑〕

そう笑って、小笠原さんは歩き始めた。

〔ごめんね、晃一は車持ってんだけど、俺は持ってないの。だから帰り送ってあげられないんだけど〕

『あ、いえ！全然大丈夫です』

〔遅い時間にならないようにしようね。んーと、ここら辺にね、オムライスが美味しいお店あるから、そこにしよっか〕

『はい』

あ、もしかして、この前一緒に行ったお店かな、と予想した。

約10分後、その予想が的中していたことが判明する。

『このお店…！』

〔ふふ、この前来たんでしょ？晃一と〕

『はい、そうです…！』

〔晃一がね、羽奈ちゃんがオムライス好きらしいから、オススメのお店教えてくれってしつこくってさ。笑〕

『え？』

そういえば

ー「いいお店は海がよう知ってんねんな～」ー

そう、言っていた。

〔晃一ね、ほんとに羽奈ちゃんのこと大好きみたいだよ〕

爆弾発言を残して、
小笠原さんはお店の中に入っていった。