スキの定義２《赤》

◎79 ページ34

.








あの花火大会以来、大毅には会えずにいた

あの日の罪悪感から淳太くんにも連絡出来ていない


はぁ、いい年こいて何やってるんやろう
日に日に増えていく溜め息にうんざりする毎日


やっぱり大毅のことが好きだと自覚した今、
私の頭の中は淳太くんに何て話そう...そればかりだった


ソファの上でクッションを抱き
スマホとにらめっこをし出して早二時間

文章を書いては消して、書いては消してを繰り返していると
画面が変わり、流れたのは聞き慣れた着信音



｢もし、もし？｣

｢久しぶり、最近忙しくて連絡出来へんかってごめんな｣

｢ううん、大丈夫｣

｢今日さ、時間ある？｣

｢うん、あるよ｣

｢じゃあAの家行っていい？｣

｢...分かった、待ってるね｣



20時には着くから、そう言って切れた電話
何だかいつもとは違う声のトーンにザワザワと胸騒ぎがした


部屋着から出掛けても大丈夫なようなラフな恰好に着替え、
飲んだりするのかな？と少しおつまみも作って待っていると鳴らされたインターホン


扉を開けたそこには、最後に会った日よりも少しやつれた淳太くんが立っていた



｢久しぶり、やね｣

｢Aちょっと痩せたんちゃう？｣

｢ふふ、そうかな？ほら、上がって上がって｣

｢お邪魔します、｣



会えばいつもと変わらない淳太くんにホッとするも
胸騒ぎが治まることはなかった


淳太くんはいつも来た時はソファに腰掛ける

はずなのに、今日はテーブルの方に向かい静かに腰を下ろした

淳太くんがそこに座る時は大抵大事な話がある時、

嫌な音を立てて心臓がドクドクと鳴り始めたのを感じながら

私も同じように淳太くんの正面に腰を下ろした





.

◎80→←◎78

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す