スキの定義２《赤》

◎77 ページ32

.








｢ははっ、お前泣きすぎやろ｣

｢だって...｣

｢同情されたくないと思ってずっと話せんかった、ごめんな？｣

｢同情なんかしやんよ、大毅そういうん嫌いやって知ってるし｣

｢さすが幼馴染みやなぁ｣

｢もっと褒めてくれてええよ？｣

｢調子乗んなアホ、てかそろそろ行かな始まるんちゃん｣



腕時計を確認し、
はよ皆んとこ戻ろ！そう言って先を歩き始めた大毅


ねぇ、無理して明るく振る舞わんといてよ
大毅が泣きそうになってたことくらい気付いてるよ？


大毅は今、どんな気持ちですか？
私はね、苦しいよ、苦しいけどそれよりも



｢大毅！｣

｢ん？なに？｣

｢また出会ってくれてありがとう｣



ただただそう思ったんです



｢...それは反則やって、｣

｢ちょっと大毅っ、｣

｢ごめん、今だけ許して｣



私の背中に手を回して首元に顔を埋めた大毅は
静かに、だけど確かに涙を流していた


あの時大毅のこと一人にしてごめん
気付いてあげられへんくてごめんね


そんな思いを込めて私は同じようにそっと腕を回した









この時、自分にも大毅にも付き合ってる人がいるなんてこと忘れていた


初めて弱さを見せた大毅にただただ寄り添っていたかった

私がこの人を支えていきたい、そう思ったんだ





.

◎78→←◎76

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す