スキの定義２《赤》

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新幹線から見える景色は段々と高い建物が多くなってくる


予定通り着いた新幹線から降り、んんっと一つ伸びをした


久しぶりに来た大都会、東京


最後に来たのは高校の卒業旅行やったっけ


そんな懐かしい記憶を頭の中で駆け巡らせながら
会社までの道のりをスマホで確かめながら歩いていく


地図と周りの建物を交互に見ながら歩いていると
目に入ったのは大手ブランドの広告


男の人の方が女の人の肩を抱き寄せている写真


男の人は黒のライダースに細身のスキニーとハット
女の人はオフショルのニットにタイトスカート


何年経っても変わらない綺麗な顔が二つ
高校時代を思い出して思わず笑みが零れる


その私の目に映っている美男と美女は
高校卒業と共にスカウトがきっかけでモデルとなった流星
そしてオーディションを受け見事女優への道へと進んだ菜奈子だった


三年間ほとんどの時間を共にした五人の中で大学に進学したのは私だけ


芸能界へと飛び込んだ二人と専門学校へ進学したのんちゃんと神ちゃん


その二人も二年前に卒業し、今では二人も


のんちゃんは流星専属のヘアメイク
神ちゃんは業界でも有名なスタイリストとなり
高校の時とは比べ物にならない程有名人となっていた四人


日に日に雑誌やテレビなどで見かける機会が増えて
友達として誇りに思い嬉しくなる反面


やっぱり住む世界がちゃうかったんやなぁと寂しくなったりもして


まだまだ怒られてばかりの自分が情けなくなることも多かった


それでも高校の時と変わらず仲良くしてくれる四人が
心の支えとなっているのもまた事実で


しんどくても辛くても彼らを見ていると
私も頑張らないとな、と思えるまでにはなっていた


そんなことを考えているうちに段々と見えてきた本社に少し緊張が増していく


今日から半年、ここで結果を残せば少しは自分に自信が持てるはず


よしっと気合いを入れ直して私は東京での生活をスタートさせた





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