スキの定義２《赤》

◎69 大毅side ページ24

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一種の賭けやった


ほんまは心臓が止まるんちゃうかってくらい
ドキドキしてアホみたいに動揺して


出来るだけ自然に発した｢好き｣という単語に彼女は反応した


俺の予想では｢何アホなこと言うてんの｣とか
そんな反応が返ってくると思ってたのに


彼女は俺のことを好きだったと言った、好き"だった"と


この時点で俺は悟ったんや
もう俺にチャンスはないんやって


あの時とは違う、俺の早とちりなんかじゃなくて
本人に直接過去形で伝えられた気持ち


ならば俺に出来ることは一つしかない



｢ふふ、そっか。Aさぁ...彼氏、おるんやろ？｣

｢...うん、おる。すっごい素敵な人｣

｢大事にしてもらえよ｣

｢うん、｣

｢結婚式は呼んでな？｣

｢考えとく｣

｢なんでやねん！幼馴染みやろ！｣

｢嘘やって。大毅も彼女おるって聞いたけど｣

｢...おん、おるよ。すっごい可愛い彼女｣

｢そっか、大事にしてあげてよ？｣

｢言われんでもしてるわ｣

｢大毅はさ、幸せ？｣

｢...幸せやで｣



Aが幸せやったら俺は幸せやねん
やから絶対幸せになってな


そのためやったら俺は嘘をつき続けることも苦じゃないから


ほんまは俺が幸せにしたかったなんて思いは
心の奥に閉じ込めて、俺は精一杯Aに笑ってみせた




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