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◎68 ページ23

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「A...?」



目の前で目を見開いて固まっている大毅が発した声は
あまりにも小さく震えていた



「久しぶり、やね」

「なんで...」

「照史さんに大毅はここの店長やって教えてもらって」

「それで来たん?」

「あかん、かった?」

「そうじゃなくて...とりあえず座ってて」



そう言われて案内されたのは他の席からは死角になっている席
ちょっと待っとって、と大毅は厨房の方へと消えていった



「あれ...」



一人になって初めて自分が泣いているということに気付く


気付いてしまえば止まることのない涙をどうにかやり過ごそうと

置いてあったおしぼりを目に当てても
これならと思って天を仰いでみても

結局大毅が戻って来るまで涙腺は言う事を聞いてくれなかった



「あー、もう擦ったらあかんって。これで冷やしとき」

「ん、ありがと」

「なんか八年ぶりとは思われへんくらい今の自然やったくない?」

「ふふ、そうやね」

「まぁ一緒におったんはその倍やからな」

「そう考えたらそうやね」

「...でも、昔とは比べ物ならんくらい綺麗になったな」



そう言ってふわりと微笑む大毅の表情と声が
ひどく優しくて、思わず大毅から目を逸らす



「大毅こそ、こんな有名なるくらい格好良なってもうて」

「なったんじゃなくて元々格好良かったやん?」

「アホちゃう?今がいくらイケメンでも
寝不足のパイナップルやった過去は消えへんから」

「うっさいわ!てかそれ言うてんのお前だけやろ」

「流星とか神ちゃんとかに昔の大毅の写真見せたら
みんな『ほんまや、寝不足のパイナップルや』って言うてた」

「なんで見せてんねん、俺のおらんとこで俺の話するって
そんなに俺のこと好きやったんか?」

「...うん、せやね。好きやったよ、好きやった」



あまりにも自然に「好き」という言葉を発した大毅に
私は半ばヤケクソのような気持ちでそう口にしていた





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◎69 大毅side→←◎67 大毅side



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葉月(プロフ) - お疲れ様。楽しかった (2017年6月14日 22時) (レス) id: 976831957c (このIDを非表示/違反報告)
もるもるさん(プロフ) - 最後まで読みました!内容がまとまっていて、感動しました泣 また大神さんの作品を読みたいと思います!!! (2017年6月14日 22時) (レス) id: 916223f9f9 (このIDを非表示/違反報告)
大神(プロフ) - 葉月さん» 返信遅くなりすみません...有難いお言葉ありがとうございます( ; ; )見ての通りすごく不定期な更新となりますが最後までお付き合い頂けたら嬉しいです^^ (2017年6月4日 16時) (レス) id: f552d6f635 (このIDを非表示/違反報告)
葉月(プロフ) - マイペースで全然大丈夫ですよ!このお話が大好きです。すれ違ってるとことか、すごく細かく書いてあって感動します。これからも頑張ってください! (2017年5月24日 22時) (レス) id: 976831957c (このIDを非表示/違反報告)
大神(プロフ) - このんさん» コメントありがとうございます...!嬉しいお言葉ありがとうございます( ; ; )お待たせ致しました、少しずつになると思いますがこれからもしっかり更新していきますので気長にお待ち頂ければと思います(>_<) (2017年3月31日 14時) (レス) id: f552d6f635 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:大神 | 作成日時:2017年3月17日 19時

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