スキの定義２《赤》

◎56 流星side ページ11

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しげのその発言に思わず、はっ？と間抜けな声が出る



｢俺とAが？｣

｢だってあの花火大会の日、Aとキスしてたやん｣

｢ちゃう、あれは...｣



その先の言葉が見つからない

あぁ、俺はきっとやってはいけない過ちを犯してたんや
若かったが故の過ち、自分のことしか考えられなかった俺の大きな過ち


まさか見られてるとは思っていなかった
いや、本当は見せたかったのかもしれない


"お前には渡さへんぞ、俺がこの子を幸せにする"って


しげがAのことを好きなことくらい気付いていた

けどいつまで経ってもAとの関係を変えようとしないしげを俺は挑発した


しげなら本気で戦ってくれる、そう思っていたから

でもそれはしげに俺の理想を押し付けていただけ
本当のしげはライバルがいると知ったら身を引くような根の優しい奴だった


俺があんなことをせずにしげとAが結ばれていたら...
少なくともAがあんなに傷付くことはなかったやろう

結局失恋する運命やったんなら俺だけが傷付けば良かったんや

失恋の傷なんて時間さえあればいつかは癒える

けれど、大切な人がいなくなる
それも想いすら伝えられていない好きな人なんて
Aは一体どれほど深い傷を負ったんやろうか


正直しげが悪いと思っていた
勝手に姿を消したしげが悪いんやって

結局それも単なる俺の理想で、
心の何処かで俺のせいなんじゃないかという思いはずっと存在していた



｢ごめん、しげ。｣

｢なんで謝るん？別に流星は何も悪ないやん｣

｢俺、フラれたから。俺とAは付き合ってなんかない｣



そう言うと明らかにビックリしている様子のしげが目に映る



｢え、でも、流星とAは...｣

｢あれは俺が勝手にやったことやから｣

｢そう、なんや｣



そう呟くしげの表情はどこかホッとしているような気もするし
なぜか焦っているような、やってしまったというような感じにも見て取れた



結局その後、Aがしげのことを好きだったことを
伝えるタイミングを逃したまま俺は店を後にした



二人が幸せになる道を探さなければ...
俺に出来る事はそれしかない、そう思っていたのに

神様は愚かな俺の言うことなんて聞いてくれないらしい




その数日後やった、Aに彼氏が出来たことを知ったのは...





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