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◎38 大毅side ページ38

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「大毅、ほんまに良かったんか?」

「うん、もうええねん」

「...そっか、じゃあ行こか」




**




あの日、俺が一人ぼっちになった日


照史くんがすぐに来てくれて俺は全てを話した


そしたらもう大丈夫や、俺がおるからって
泣けない俺の代わりに涙を流して抱き締めてくれた照史くん


久しぶりに人の温かさを感じた瞬間やった


一人じゃあれやろうからって一人暮らしの家に連れて来てくれて
今日はもう遅いから寝た方がいいと言って一つしかないベッドを譲ってくれる


遠慮する俺に今日からお前は桐山家の一員、
家族やから遠慮なんかせんでええねんと言って
優しく笑いかけてくれる照史くんを見て、この日初めて涙が溢れ出した


よほど神経を使っていたのかその後すぐに寝てしまった俺


朝、目が覚めてリビングへ行くと
ソファの上で小さくなって寝ている照史くんが目に入った


やっぱり次からは俺がソファで寝た方がええよな、
窮屈そうに寝ている照史くんを見て申し訳なさを感じる


でもそれ以上に心の中はとても穏やかで、
それも全て照史くんのおかげやと思うと一生をかけて恩返しせなあかんなと思った


そして照史くんと暮らし始めて数日が経った時、
照史くんからあることを持ちかけられた



「大毅、東京、行かへん?」



一緒に暮らし始めてから家族やからという理由で
苗字ではなく名前で呼んでくれるようになった照史くんからの思いもよらない提案



「へ?東京?」

「最近店も人気出てきたやんか、それで東京にも出そうと思とって」

「こっちの店はどうなるん?」

「兄貴が引き継いでくれることになって、
東京に店出すんが俺の夢やったから兄貴も快く引き受けてくれて...」



初めて聞いた照史くんの夢


少しでも照史くんの役に立てるのなら、と俺は二つ返事で了承した


この時俺の頭の中には
Aも神ちゃんも流星も小瀧も全く浮かんでくることはなかった


ただただ照史くんへ恩返しをしなければということしか頭になかったんや






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◎39→←◎37



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大神(プロフ) - ななみさん» コメントありがとうございます...!そう言って頂けて嬉しい限りです、まだまだ先の長いお話ですが良ければ最後までお付き合いくださいませ(>_<) (2017年2月19日 23時) (レス) id: f552d6f635 (このIDを非表示/違反報告)
ななみ - このお話すごく大好きです。せつない気持ちになります。これからも更新楽しみにしています!頑張ってください! (2017年2月18日 14時) (レス) id: 3260ee2250 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:大神 | 作成日時:2017年1月11日 21時

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