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◎35 大毅side ページ35

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バイト前に俺が自然と向かっていたのは試合が行なわれるスタジアム




めちゃくちゃな理由で辞めて迷惑をかけた分際で
観に来るなんかどうかしてるよな、

なんて自嘲めいた笑いが零れる


あと少しで会場だという時に見えたのは
あの花火大会以来のAの姿


慌てて背を向け元来た道を戻ろうとしたが
あっけなく見つかり声を掛けられる


バイトやからと帰ろうとしてもなかなか離してくれず
段々とイライラが募ってくる


そして勢いに任せて一生心の奥底に秘めておこう
そう思っていたことがつい口を突いて出た


Aはもう流星のものなのに
俺はまたキミを困らせることばかり言ってしまう



返ってきた返事は予想通りのもので
分かってはいてもやはり傷付く心の弱い俺は

これ以上なにかをAの口から聞くのが怖くなって、
その場から逃げるように駅へと向かった



「おはようございまーす」

「え?しげ?今日17時からって言わんかった?」

「予定無くなって、暇やったんで来ちゃいました」

「ははっ、なんやそれ。んじゃバイトまで裏でゆっくりしとき!」



いつもと様子が違う俺を見ても
いつも通り接してくれる照史くんの優しさについ泣きそうになる


裏にあるパイプ椅子に座ってボーッとしていると
照史くんがお菓子とジュースを持ってやってきた



「今日はいつにも増して元気ないな」

「いつにも増して?」

「自分じゃ気ぃ付いてないか知らんけどいっつも目だけわろてへんで?」

「ほんまに?」

「何があったんかは話してくれな分からんことやけど
あんまり暗い雰囲気出されるとここも一応接客業やからなぁ」

「...ごめん、照史くん」

「別に怒ってへんで?
ただしげにはそんなくっらい表情似合わんでって、
お前のええとこは元気なとこやろ?」



そう言って俺の頭をわしゃわしゃっと撫でて戻っていった照史くん


こんなに良い人に迷惑なんか掛けてられへん、と
気合いを入れ直して今日のことは一旦頭の片隅に追いやる




今日がAに会った最後の日なるなんて思いもしないまま
俺はいつも通りただただがむしゃらに働いていた





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大神(プロフ) - ななみさん» コメントありがとうございます...!そう言って頂けて嬉しい限りです、まだまだ先の長いお話ですが良ければ最後までお付き合いくださいませ(>_<) (2017年2月19日 23時) (レス) id: f552d6f635 (このIDを非表示/違反報告)
ななみ - このお話すごく大好きです。せつない気持ちになります。これからも更新楽しみにしています!頑張ってください! (2017年2月18日 14時) (レス) id: 3260ee2250 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:大神 | 作成日時:2017年1月11日 21時

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