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試合が進むにつれて自分の心の中が真っ黒になっていくのを感じ
耐え切れなくなった私はそっとスタジアムを後にした



「流星くんに悪いことしちゃったな...」



そう独りごちて歩いていると
目に入ったのは少し痩せたように思える見慣れた後ろ姿



「大毅っ!」



そう名前を呼ぶとビクッと肩を揺らしてこちらを振り向き
あからさまに表情を曇らせて私を見つめる大毅



「大毅...観に来たんやろ?」

「たまたま通りかかっただけや」

「嘘や、こんなとこたまたま通りかかる訳ないやん」

「...俺もうバイトやから、じゃあな」



そう言って足早に立ち去ろうとする大毅の後を慌てて追いかける



「ちょっと待って、!」

「なんやねん、俺急いでるから」



こちらを見向きもしない大毅に腹が立って
つい責めるような言葉を口にしてしまう



「なんでサッカー辞めたん?」

「だからなんとなくやって言うてるやろ」

「大毅にとってサッカーはなんとなくで辞めれるようなもんやったん?」

「やったらなんなん?」

「流星くんとかのんちゃんとか一緒に頑張ってきたみんなに悪いと思わんの?」

「お前には関係ないやろ、」

「ほんまの理由教えてよ、あんだけ頑張ってた大毅が
そんな理由で辞めるなんか信じられるわけないやんか...」

「好きだけじゃ続けられへんことやってあんねん
どんだけやりたいと思ってても出来へんくなることもあんねん、」

「そんなん...」



掛ける言葉が見つからなくて俯いていると
突然思いもよらない質問を投げ掛けられる



「なぁ、俺のこと好き?」

「は?急に何言って、」

「俺のこと好き?」

「...すき、やで?」



そう言うと何故か悲しそうな顔で笑う大毅



「流星と付き合っとるんやろ?」

「えっ?ちがっ、」

「あいつええ奴やから大事にしてもらえよ?...じゃあな」



私の話を遮るように言いたいことだけ言って
背を向けた大毅はそのまま駅の方へと消えて行った






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◎34 大毅side→←◎32



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大神(プロフ) - ななみさん» コメントありがとうございます...!そう言って頂けて嬉しい限りです、まだまだ先の長いお話ですが良ければ最後までお付き合いくださいませ(>_<) (2017年2月19日 23時) (レス) id: f552d6f635 (このIDを非表示/違反報告)
ななみ - このお話すごく大好きです。せつない気持ちになります。これからも更新楽しみにしています!頑張ってください! (2017年2月18日 14時) (レス) id: 3260ee2250 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:大神 | 作成日時:2017年1月11日 21時

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