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｢お母さん！あそこのパン屋さん寄ってみない？｣
いつもの病院の帰り、少しお腹の空いていた私は、小さな道路を挟んで、薬屋の向かいにある小さなパン屋を指差した。
小さい頃から他の子に比べ虚弱体質だった私は、毎月こうやって病院に通っていた。
私が薬屋に通い始めた頃からずっとある、ちょっとレトロな感じのパン屋さん。
春の暖かな日差しに包まれながら佇んでいる。
この前を通るといつもいい香りするんだ。
｢いらっしゃいませ〜｣
音を立てて扉が開くと、お店の人の声が響くと共に
ふわっと美味しそうな香りが体を包む。
｢わぁ、いい香り〜｣
｢あんまり沢山は買わないわよ？
帰ったらお夕飯あるんだからね〜？｣
｢わかってるって〜｣
棚に並ぶ色々な形をした美味しそうなパンたち。
クロワッサン、メロンパン、シナモンロールに、ベーグルやサンドイッチ。
私はメロンパンが大好きだけど、この｢当店オリジナル｣って書いてあるハニートーストもおいしそうだなぁ〜
う〜ん。全部おいしそうでなかなか決められない…。
｢どうしようかな…｣
｢今月のおすすめはチェリーデニッシュだよ｣
ショーケースの前でしゃがみ込んでうんうんと唸っていると上から声がした。
見上げると、大きな目がこちらを覗き込んでいる。
｢チェリー…なに？｣
立ち上がって彼をちゃんと見ると、同い年くらいのすこし肌黒な男の子。
ショーケースの中にいるってことは、もしかして働いているのかな？
私とそんなに変わらなそうな年なのにすごい…。
｢チェリーデニッシュ。これだよ。あ、食べてみる？焼きたてだよ。｣
はい。と差し出された一口タイプのチェリーデニッシュ。
口にいれるとチェリージャムの甘さがふわっと広がる。
｢甘〜い！あったか〜い！おいしい〜！｣
｢でしょ？｣
男の子は顔をクシャっとさせて、一口、チェリーデニッシュを自分の口に放り込んだ。
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きゃっち(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます！！楽しんで頂けるよう頑張ります！！(*^^*) (2016年2月5日 2時) (
レス) id: be2a84178a (このIDを非表示/違反報告)
あい - すごく面白いです！これからも更新頑張ってください！ (2016年2月4日 22時) (レス) id: a29c81a51e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きゃっち | 作成日時：2016年1月31日 23時
