音のない世界 ページ9
《江口拓也》
小さい頃からお世話になっている僕の担当医の石口先生。
石口「拓也…さっきした検査結果なんだけど」
長年、一緒にいるから分かる事なんだけど・・・先生は何か隠したい時に口がどもるw
だから、今から言う言葉に僕はなんとなく分かってしまう。
江口「大丈夫,,,もう覚悟は決めてあるから」
石口「検査の結果,,,右耳は失聴になって両耳を補聴器がないと聴こえなくなっていた。
----もう1つのやつは、薬を替える。抗がん剤で髪の毛が抜ける事になる。辛いけど大丈夫か？」
江口「もう…w俺、31歳だから大丈夫だよ？w辛かったらナースコール呼ぶし」
石口「・・・先輩達にはこの事について言わないのか？」
江口「俺の後輩は大体知ってる。この結果が終わり次第、連絡して暖かい帽子を買ってくるように頼む」
石口「・・・そうか。散歩に行きたい時は連絡してからな？」
江口「はーい」
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あー、本当に僕の耳,,,聴こえないんだな……。
試しに補聴器を取ってみた。----すると、子供達が走っていく音,先生達の呼び声,そして,,,
代永「えぐぅ〜！元気？,,,じゃないよね？ん？どったの？」
大好きでいつもお母さん的存在の貴方の声も聴こえないなんて----
代永「？？？えぐぅ、それなぁに？」
江口「(補聴器を両耳に装着し)----補聴器です」
代永「・・・え」
江口「僕の両耳は失聴です。だから、一生補聴器を使わないといけない生活です。」
代永「そう,,,なんだ。あ！病室に行こっか？」
江口「(すげぇ、泣きそうな顔してる)」
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木村「江口！どうだった検査は？！----ちょ！ういんぐ何泣いてんの！？」
代永「だっ,,,て泣えぐぅ〜が！泣」
入野「江口,,,泣かしたの？(^o^;)」
江口「物騒ですね。僕は皆さんより先に結果報告したら泣き出したんです」
小野「で、検査はどうだったの？」
江口「僕の両耳、失聴です。だからこれを着けてないと,,,人の声,音は聴こえません」
日野「音を取り戻すことは出来ないの？」
江口「左耳が失聴した時、右耳も可能性がある=一生治らないって2年前から分かっていたのでしょうがないですわ」
浪川「これからどうするの？」
江口「静寂の世界でこれから住んでいきます。
あ、見舞いはほどほどにしてくださいね？貴方達は"仕事"というものがあるのですから」
僕は皆の顔を見るのが嫌で補聴器を外し、布団を頭まで被った。
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作者名：獅亜 | 作成日時：2018年9月22日 16時
