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59話 ページ38

江口side

江口「ただいま〜」


いつもなら「おかえり」と出迎えてくれるAが
今日はいなかった。出かけてるのかな?
なんて思ってリビングへ行く。
出かける時に必ず置いてある置き手紙もないので
寝てるのかな…そう思い寝室のドアを開けると
昼出て行った時と同じようにAは寝ていた。
疲れているんだなと思って部屋を出ようとした時


『いや…いやだ……やめて…』


泣きそうな声で確かにそう言った。
嫌な夢でも見てるのだろうか…
心配になってAに声をかける。


江口「A…A!…A!!」

『んぅ…拓くん?』

江口「うん。ただいま。随分うなされてたけど大丈夫?」

『おか…えり。』


Aの頬に涙のあと…それに腫れたまぶた。
きっとかなり泣いたんだろう。
俺が不安にさせてるのかな…


江口「っ…泣いたの…?ほっぺに跡ついてる。」

『こ…これは…』


Aの悪い癖だ。なんでも1人で解決しようとする。
俺が聞かなきゃ…そう思ったのがダメだったのかもしれない。


江口「これは?」

『なんでもない。あ、ご飯まだだよね。今作るね!』

明らかに空元気だ。俺に隠そうったって無駄だよ。
何年見てきたと思ってんだ。そう思った。


江口「待って。」


Aの腕を引っ張り抱きしめる。


江口「何があったの?」


小さい子に聞くように問う。


『だから、なんでもないって笑』

江口「嘘。何かあったんでしょ…」

『何も無いよ…』

江口「…俺には…言えない…?」

『だから何も無いって言ってんじゃん!』


初めてAに怒鳴られた。
そして俺の胸を強く押して俺から離れる。


江口「そっか…ごめん。」


そう言うしかなかった。
そして、そこから立ち去るしか無かった。


江口「俺、風呂行ってくるね。」


正直泣きそうだった。

Aが辛いのに慰めてやれない。
聞いてあげられない自分の不甲斐なさに心底腹が立った。
だけど、俺は鈍感だから何があったかなんて気づいてやれない。
聞くしか出来ないのに…聞いてあげられない。
それが悔しくて仕方なかった。


江口「くそっ…俺は…何も出来ないのかよ…。」


結局何も出来ない…そんな自分が嫌になる。


江口「ごめん…A…。」


1人っきりの浴室で呟いた。

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百星(プロフ) - りょーき。さん» わぁ!ありがとうございます!是非是非!読ませていたいただきます!お互い頑張りましょうね! (2019年1月11日 23時) (レス) id: 15d5c24313 (このIDを非表示/違反報告)
りょーき。(プロフ) - はじめまして!いつもドキドキしながら読んでいます。とても面白いです!私も小説書いているのでよかったら読んで見て下さい。これからも頑張ってください! (2019年1月9日 22時) (レス) id: 13d40e2241 (このIDを非表示/違反報告)
百星(プロフ) - りさちーさん» いえいえ、こちらこそすみません。 (2018年12月20日 20時) (レス) id: 15d5c24313 (このIDを非表示/違反報告)
りさちー - 百星さん» そうなんですね;;;;アカウントを作ってもらうのも厳しいですよね…無理を言ってすみませんでした… (2018年12月20日 19時) (レス) id: 41b914f6ac (このIDを非表示/違反報告)
百星(プロフ) - りさちーさん» すみません。Instagramはやってないんですm(*_ _)m (2018年12月20日 19時) (レス) id: 15d5c24313 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あいな | 作成日時:2018年12月7日 19時

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