クッキー ページ6
クッキーの乗ったお皿が置かれる。
トレイとチェーニャの真似をして、私も一つ取った。
さくっ
「…！ 甘い…！」
tr「はは、クッキーなんだから当たり前だろ？」
che「クッキー食べたことにゃぁの？」
「あるんだけど…
おうちでは出されないからすごく久しぶりに食べたなぁ」
味わうように、ゆっくり噛み締める。
甘くて美味しいなぁ。
思わず笑みがこぼれてしまう。
tr「…他にもいっぱい甘い食べ物あるぞ？」
「そうなの？」
tr「明日も遊びに来てよ、今度はマフィンでも用意しておくから」
『それ用意するの父さんなんじゃ…』←
tr「お、俺も手伝うから！」
嬉しさで顔がほころぶ。
che「ほぉ〜？」
何かに気付いたように、そう言って笑ったチェーニャ。
ぐいっと席を近付けて、耳元で小さく喋り出した。
che「ここのお菓子は何をとっても美味しいからねぇ
特にイチゴのタルトなんて、ありゃあほっぺが落ちるほどにゃあ」
「イチゴのタルト…」
目に浮かんだのはここに来た時、ショーウィンドウに飾られていたイチゴがいっぱい乗ったパイみたいなもの。
あれが、イチゴのタルトなのかな。
che「食べたい？」
頷きたかったけど、おやつは今クッキーを食べてしまった。
我慢して、「また今度の機会にね」と言った。
che「ちぇ、おみゃーから言ってくれれば眼鏡も出してくれると思ったんだがね」
「私から言ったら…？ なんで？」
che「んにゃあ、トレイの顔見れば分かる話だがにゃぁ」
お父さんと話しているトレイを見る。
うーん、普通に会話してるだけだし、やっぱり表情からは分からないや。
「チェーニャはすごいね、私には分からないや」
che「んふふふ、Aの素直なところを見習って欲しいにゃあ、トレイ」
tr「おいチェーニャ何か変なこと言って……
あっ、そろそろ日が暮れそうだな、Aを送ってくるよ」
トレイは私についてくるよう言った。
別に送らなくても大丈夫だけどなぁ、なんて思いつつも断らなかった。
友達ができたのが、嬉しかったから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ダルめのシアン | 作成日時：2022年10月9日 0時
