追憶 ページ16
−A side−
『(ここはどこだろう…)』
あたしが立っているのは一面の花畑
綺麗…
すると背後に気配を感じ、振り返る
『？！……お、母さん、お父さん？』
そこには数年ぶりの両親の姿
『(あぁ、あたし死んだのか…)』
『お母さん、お父さん…ごめんなさい
あの時家に居なくて、助けられなくて
あたしだけ生きてて、ごめんなさい…』
両親の顔が見れない
俯く視界が徐々に歪んでいく
『ごめん、なさい……』
次の瞬間、体が暖かさに包まれる
背中に回された手が暖かい、そう感じた時
あたしの中で何かが弾けた
『う、うわぁぁぁ』
"あの時"ぶりにあたしの目から流れた涙はとめどなく流れ、花々を濡らしていく
背中に回された手が、まるで「(大丈夫)」と言っているかのように上下に動く
暖かい…
どのくらいそうしていただろう
涙はいつの間にか止まっていた
体を離し両親としっかり向き合う
『ありがとう、一緒に行こっか』
あたしがそう言うと、お母さんは首を横に振る
「(貴方とは一緒に行けない)」
『え？』
透き通るような懐かしい声
でも、一緒に行けない？
『どういうこと？』
するとお母さんはあたしの手を取り、そっと薄紫色の花を乗せた
『…この花…』
その花を見た瞬間、"ある人"が頭に浮かんだ
手の中にあるのは"ペチュニア"以前花壇で見たな…
薄紫色のペチュニアの花言葉＿＿"追憶"
高専のみんな、そして狗巻先輩と過した日々を思い出す、あぁだめだ…
『(死にたくない)』
両親を守れなかった自分は命をかけて誰かを守るんだ
もしその時がきても後悔がないように
心残りがないように、様々な気持ちに蓋をしてきたつもりだった
でも、そんなのは意味がなかったらしい
みんなともっと一緒にいたい
もっと役に立ちたい
狗巻先輩に、この気持ちを伝えたい…
思ってしまえば次から次へと欲が出てしまう
こんなこと思っていいのだろうか…
不安に駆られ、両親の顔を見る
すると、2人はあたしの手に自身の手を重ねた
包み込むように、そっと優しく
そして
「(お前にはまだやることがあるだろう？)」
「(Aにはまだ早いわね)」
そう言うと以前のような優しい笑顔を向けられる
『お母さんお父さん、ごめんなさい
それと、ありがとう』
そう言うと同時に激しい頭痛に襲われる
『＿＿＿＿っ』
あたしは再び意識を手放した
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 752人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
珠月(プロフ) - 萌歌さん» そんなあなたが神です！(？)前回に引き続きコメントありがとうございます嬉しすぎます\( *°ω°* )/ (2022年3月9日 20時) (
レス) id: ba98b33905 (このIDを非表示/違反報告)
萌歌 - 棘君なんかかわいいしかっこいいし主人公、かわいすぎるしもう最高超えて神です (2022年3月6日 10時) (レス) @page21 id: 29dfa18fe4 (このIDを非表示/違反報告)
珠月(プロフ) - 明日羽さん» ありがとうございますぅ( ;ᯅ; )そう言っていただけるとめちゃくちゃ嬉しいです!! (2022年1月29日 22時) (レス) id: bbd378e802 (このIDを非表示/違反報告)
明日羽(プロフ) - 控えめに言って最ｯｯｯｯ高ﾃです!! (2022年1月29日 20時) (レス) @page45 id: 27c3def8c6 (このIDを非表示/違反報告)
珠月(プロフ) - ひなさん» 貴重な睡眠時間を！！！ありがとうございます！！！！ (2021年6月19日 7時) (レス) id: 6b18f29148 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：珠月 | 作成日時：2021年4月11日 23時
