俺、犬派なんで【伏黒恵】 (ページ9)

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学生証ページ9

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「あれ、恵じゃん、もうみんな行っちゃったよ？」

「俺はあんたに用があるんです」

あの後、ちょっと待ってろと言い残し
俺は共有スペースに戻ってきていた

ソファに座り、ムカつくほど長い足を前に放り出している

「え、なになに？僕に用事なんて珍しいね」

「Aに学生証渡してないですよね」

「…え？まじ？」

「まじ」

俺の言葉に一瞬固まった先生だったが
すぐに自分のポケットを漁り始めた

「あ、あった」

そう言って大量のチョコと一緒に1枚の学生証が出てきた

ほんとに適当だなこの人は

「はいこれ、Aに渡しといて」

「なんで俺が…」

なんて思ったがこの人に持たせておいたら一生Aに渡らないことも有り得る

俺は差し出された学生証を受け取る

「あいつ1級なんですね」

顔写真の左上を見てそう呟く

「ん？あーそうだね、一応1級ってことになってる」

「一応？」

「そ、一応、そのうち手合わせすれば分かるよ」

「？」

過大評価とも過小評価ともとれる言い方だな

まぁ今はそんなことより

「誘拐したってどういうことですか」

「やだなぁ～、恵までそんなこと言うの？」

「自分が言ったんじゃないですか…」

と俺が言えば「そうだったね」なんて言って笑っている

「誘拐したのは本当だよ、今頃藤院家はAのこと血眼になって探してるんじゃない？」

「何でそんなこと」

「Aの意志だよ」

「Aの？」

「はい、僕が言えるのはここまで！後は直接Aに聞きな、多分普通に教えてくれると思うし」

と言って五条先生は立ち上がる

「僕はこれからおじいちゃんたちの相手しなくちゃいけないからもう行くね」

「…」

「"それ"ちゃんと渡しといてね」

と言い残し、ヒラヒラと手を振って行ってしまった

「(ちゃんと渡さなかったのはあんたの方だろ)」

なんて思いながら手元の学生証を見る

"ワケあり"ってことに変わりは無さそうだがいまいちよく分からないな
ま、本人に確認するしかないか

Aのことだ、きっともう教室には居ないだろう

とりあえず一旦戻るか

そう思い、俺は再び教室に向かって歩き出した