わたし。 ページ1
.
物心つく前から、私――白雪紗夜は、それはそれは蝶よ花よと愛でられ育てられた。
日本人女子の平均身長ながらも、ぱっちりとした色素の薄い瞳、透き通ったような真っ白の肌に細い四肢。
我ながら、上手く両親の良いところだけを引き継いで生まれたと思う。
どこからどう見ても美少女だった私は、誰からも”お姫様のように可愛い紗夜ちゃん”として持て囃された。
運動をしようとすれば怪我をしてはいけないからと止められ、か弱い存在として守られていた。
周りが言う通り、私はお姫様として生きていくものだと、馬鹿みたいに思っていた。
けれど、ある日の私は、たまたまテレビに映っていたある球技に釘付けになってしまったのだ。
白いボールを投げて、打って、汗水垂らして貪欲に頑張る姿に、何故かどうしようもなく惹かれてしまった。
当時のプロ野球の舞台には、女性の選手は1人もいなかった。
誰もが”なれるわけない”と、”可愛い顔が台無し”だと否定したけれど、女の子がプロになれないなんて、そんな事誰が決めたんだ。
てか野球選手になったからって、私が可愛いのは変わりないし。
むしろ、”可愛くて強い史上初の女子プロ野球選手”って肩書きサイコーじゃんね。
そんなこんなで湧いた野球への憧れは長続きしただけでなく、幸いなことに才能もあったらしい。
紆余曲折あったけれど、大学4年生になった私は無事にオリックス・バファローズからの指名を受けて、史上初の女子プロ野球選手となる事ができたのだ。
指名してくれたオリックスは初めての女子選手にも関わらず、本当に優しい人ばかりだった。
たまにいじってくるけど頼りになる先輩達も、生意気だけど可愛い後輩達も、心の拠り所の同期も、みんなみんな大好きで、お世辞抜きにいいチームだと思う。
マスコミやふんぞり返った偉そうな人達は、はじめは私のことをあーだこーだと批判してたけれど、
それも1年目の終わり頃には、”白雪は良い選手ですね”なんて言ってた。
ざまーみろ。
楽しいことだけじゃなくて苦しいことも泣きたくなることも沢山あるけれど、
野球に憧れたことは間違いじゃなかったのだと、今は自信を持って言える。
『――6番 セカンドベースマン 白雪紗夜!』
これは史上初の女子プロ野球選手となった私が、恋に野球に奮闘するお話だ。
✎︎____________
やってみたかった選手物。
好き嫌い分かれそうな癖強め主人公。
199人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
イナミ(プロフ) - Belleさん» コメントありがとうございます〜!♡同級生の佐野くんとも絡ませたいですね…!励みになります♡ (2022年7月25日 22時) (レス) id: 0f6a450733 (このIDを非表示/違反報告)
Belle - 中川圭太くんと佐野皓大くんが好きなので嬉しいです。更新楽しみにしています♡ (2022年7月25日 22時) (レス) id: 92477a7873 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:イナミ | 作成日時:2022年7月10日 10時