9. ひそやかな足音。 ページ9
ふにゃふにゃと柔らかく微笑みながら
嬉しそうに見上げてる空。
爽やかさなんて程遠いような爆音が鳴り響いてたさっきまでの騒ぎはどこ吹く風
縁側のふちをきゅっと掴んで足をプラプラさせてるその姿は
大野さんがもうひとり入りそうなほどの大きなちゃんちゃんこも手伝って
なんていうか、大野さんの持つ年齢不詳さ加減を、より際立たせていて。
......しかも。
裸足だし？前髪、あるし。
はしゃぎすぎて出ちゃった熱、
の余韻はその姿からはもう感じられないけれど、
いつもなら心の奥がきゅんって音を立てそうなそんな姿が今は、
なぜだろう、どうにもやるせなくて、仕方がない。
『さぁぁとしぃぃ！！』
『に゛ゃっっ！！』
それは、
あんなに騒いでいても
あんなに大きな声を出していても
大野さんが、振り向くことなくずっと、そこに、いたから？
『.....なにそのかわいいこえ』
『びっくりしたぁ、じゅんくん？』
あぁやってそばに行かないと
『おはよ、あさからありがと』
『おはよ、...なにが？』
ああやって、目と目を合わせないと
大野さんとは言葉を、交わすことが、出来ないから？
目の前にあるそれは
何度も何度も見てきた光景。
ゆっくり動く口
じっと唇を見つめる、大野さんの真っ直ぐな瞳
おでこがくっつきそうな距離で交わされる微笑み
目の前にあるその全ては
俺たちの日常に当たり前に、存在してる光景。
でも。
......あぁなんで、気付いちゃったんだろう。
目の前にあるそれが決して
“当たり前”では、ないことに。
優しさと温かさの中にある
糊のように張り付いた拭いきれない残酷さと悲哀さになんで
....なんで今、.......気付いちゃったん、だろう。
いつもなら
柔らかな愛だけに包まれている「そんな現実」が
あの日、大野さんと共に在ったものたちと共に、色まで付けてもうありありと蘇って。
いやだ。
いやだ、見たくない。
そんなものに俺は
俺は、気付いてなんか、いない。
そう思いたくて。
「....にの？」
そう信じて、いたくて。
「....おはよ、ございます」
胸いっぱいに吸い込んだ
後ろから抱きしめた肩口から香るきっと湯上りの大野さんの香りは
悔しいほどに甘やかで、優しい香りだった。
10. ここは京都の台所。→←8. あーたーらしーいぃあーさがきたっっ！！
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やよい(プロフ) - 智くんの背中に回された翔くんの手、翔くんの声(私は翔くんの低音ボイスが大好きです)、翔くんほど、智くんのパートナーに相応しい人はいないんじゃないかと思っています。また、お話を楽しみにしていますね。 (2021年9月1日 0時) (
レス) id: 7c70da965a (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - 翔くんの手は智くんより大きくて、男らしくて、頼りがいがあって、私見ですが、温かくて、優しくて、智くんを守っている感じがします。 (2021年9月1日 0時) (レス) id: 7c70da965a (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - 翔くんの手と智くんの手が合わさっている画像、ネットで拾って、何枚も集めています。また、翔くんによる智くんへのエスコートの動画も集めています＝ほぼ変態の域かもしれません(^◇^;)。 (2021年9月1日 0時) (レス) id: 7c70da965a (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - そう言う願いから、そう言う夢から、色々なものが研究され、発達して来たんですね。 翔くんの言葉、素敵です。 (2021年9月1日 0時) (レス) id: 7c70da965a (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - 鼓膜が破壊されてしまっていても、いつか、再生医療が発達して、智くんの耳が微かでも音を拾えるようになれば良いのに。翔くんの声だけでも。そう祈ってます。 (2021年9月1日 0時) (レス) id: 7c70da965a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mio
| 作成日時：2020年10月17日 0時
