41. ��. ページ41
それは、
ずっとずっと、むかしから。
おれが深刻なときほど、
翔くんは、こんなふう。
大きな瞳のきらきらも、
ぽったりした唇の、上向きの角度も。
三日月のかたちになる目も、
目尻にくしゅっと寄る、シワも。
それはもう、甘くて。
みつに漬けた砂糖みたいに、甘くて。
その甘さに触れると、
その、優しさに触れると、
トゲトゲの気持ちも、
硬くなった心もトロトロに溶かされて、
気が付けば、
もういい香りさえしてきそうなくらいの柔らかな気持ちが、出来上がってる。
音があったあの世界でも。
音がなくなった、この世界ではなおさら。
………ほら、
そんなふうに笑って、
そんなふうにおれのこと、
ふわふわの綿菓子みたいな柔らかい顔で見てくれて、
おれが何したって、
何言ったって翔くんは、
そんなふうに、
涼しい顔しておれを、甘やかしてくれる。
それが、
……たまらないときも、あった。
いつだって翔くんを、
助けるのはおれでいたいのに、
いつだって、いつだって翔くんのこと、
支えるのは、
その手を引くのはおれの方であって欲しいのに、
それが出来ないのが、
出来なくなったのがたまらなく、
たまらなく悔しくて、哀しかった。
そんなこと、
翔くんはきっと、知ってたと思う。
ひどいこと、したし、
ひどい言葉、ぶつけたこともあったから。
それでも翔くんは変わらずに、
ずっとずっと、そのまんま。
『知ってる、
あなたはひとりで、立ってられるひとだってこと。
なんならきっと、おれよりつよいことも。
でもそれでも俺、例え冗談でだってこの手をあなたから、離さないから、絶対。』
スケッチブックの中の、
いつかの言葉の、そのまんま。
ずっとずっと、
そうやっておれを、
おれが愛せない、“おれ” を、
護って、
慈しんで、
大切にしてくれた。
ずっとずっと、こう、やって、
そばにいてくれて、
優しい笑顔をくれて、
《智くん、あのね。
この世界にあるものはみんな、
誰かの願いで、できてるんだよ》
たくさんの、言葉をくれて、
おれのこと、
おれの、ぜんぶのこと、
ずっとずっと、
ずっとずっと、
愛していて、くれた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2656人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
やよい(プロフ) - 智くんの背中に回された翔くんの手、翔くんの声(私は翔くんの低音ボイスが大好きです)、翔くんほど、智くんのパートナーに相応しい人はいないんじゃないかと思っています。また、お話を楽しみにしていますね。 (2021年9月1日 0時) (
レス) id: 7c70da965a (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - 翔くんの手は智くんより大きくて、男らしくて、頼りがいがあって、私見ですが、温かくて、優しくて、智くんを守っている感じがします。 (2021年9月1日 0時) (レス) id: 7c70da965a (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - 翔くんの手と智くんの手が合わさっている画像、ネットで拾って、何枚も集めています。また、翔くんによる智くんへのエスコートの動画も集めています＝ほぼ変態の域かもしれません(^◇^;)。 (2021年9月1日 0時) (レス) id: 7c70da965a (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - そう言う願いから、そう言う夢から、色々なものが研究され、発達して来たんですね。 翔くんの言葉、素敵です。 (2021年9月1日 0時) (レス) id: 7c70da965a (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - 鼓膜が破壊されてしまっていても、いつか、再生医療が発達して、智くんの耳が微かでも音を拾えるようになれば良いのに。翔くんの声だけでも。そう祈ってます。 (2021年9月1日 0時) (レス) id: 7c70da965a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：mio
| 作成日時：2020年10月17日 0時
