14. 天使たちの絵。 ページ14
繋いだ手の感触だけが、
ここが“ここである”と、言っているような。
.....繋いだ、じゃないか。
とっさに握りしめた、に近い大野さんの手は親指ごと全部、
おれのちっさな手のひらに、包まれてしまってる。
三つ並んだ、見上げるほど大きな絵と、
その横に、同じくらいの大きさの別の絵。
高さにして約4メートルくらいありそうなその絵たちは、
ある意味写真より、そこに描かれている人々の感情をダイレクトに伝えてくるような、表情と色をしていて。
ロンドンで生まれて、
京都にやって来るまでの期間を外国で生活していた大野さんにとっては、
こういう“絵”は日本で生まれ育った俺たちより、身近に感じられるのかもしれないけど。
少なくとも今。
俺に、とっては。
怖くて恐ろしくて、仕方がない。
だって。
『あのアニメのか....』
.....だって、だってこの絵は....
朧げに辿る記憶。
輪郭を成してくるその場面。
蘇る、この絵の前にしたあの子の声と、顔の色。
......ねぇ、
そんな顔、してないでよ。
大野さん。
そんな顔でその絵を、見ないでよ。
あの子にそっくりな、
幸せそうな顔で、
そんな、そんな幸せそうな顔で、見上げてなんて、いないでよ。
「.......、にの」
『いつも修復してたり非公開になってたり』
『ずっと見ることが出来なくて』
『ずっとずっと、見たがってた』
ねぇもっとはしゃいでよ、
もっと飛び跳ねて喜んでよ、
もっと、ねぇもっと.....
.......嫌だ、嫌だ待って、連れて行かないで。
ツレテイカナイデ。
だから心より先に、
体が動いていたのかもしれない。
気付いたら隣りにいて、気付いたら大野さんの左手を、
“ここ”に引き留めるようにぎゅっと握り隣りに並んだ俺の手の中には相変わらず、
大野さんのきれいな手がそのまま、握りこまれていて。
「.....にの、あのこは....」
その温もりと。
名前を呼んでくれた、その声の柔らかさと。
心を冷やしていくナニカがもう、釣り合わなくて、もうどうしようもなくて。
どうしようも、なくて。
ねえ大野さん。
おれはあのとき。
なんて言えば、よかったんだろう。
「あのこはこのえを、....みることができて、よかったのかな...」
なんて応えれば、よかったんだろう。
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やよい(プロフ) - 智くんの背中に回された翔くんの手、翔くんの声(私は翔くんの低音ボイスが大好きです)、翔くんほど、智くんのパートナーに相応しい人はいないんじゃないかと思っています。また、お話を楽しみにしていますね。 (2021年9月1日 0時) (
レス) id: 7c70da965a (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - 翔くんの手は智くんより大きくて、男らしくて、頼りがいがあって、私見ですが、温かくて、優しくて、智くんを守っている感じがします。 (2021年9月1日 0時) (レス) id: 7c70da965a (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - 翔くんの手と智くんの手が合わさっている画像、ネットで拾って、何枚も集めています。また、翔くんによる智くんへのエスコートの動画も集めています＝ほぼ変態の域かもしれません(^◇^;)。 (2021年9月1日 0時) (レス) id: 7c70da965a (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - そう言う願いから、そう言う夢から、色々なものが研究され、発達して来たんですね。 翔くんの言葉、素敵です。 (2021年9月1日 0時) (レス) id: 7c70da965a (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - 鼓膜が破壊されてしまっていても、いつか、再生医療が発達して、智くんの耳が微かでも音を拾えるようになれば良いのに。翔くんの声だけでも。そう祈ってます。 (2021年9月1日 0時) (レス) id: 7c70da965a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mio
| 作成日時：2020年10月17日 0時
