14. ＊＊ ページ14
「さぶちゃ....」
「.....ん？」
静かな静かな部屋。
それでもそこに響く声は、小さくて、儚くて。
「...生きてるいみ、...あるのかな...」
それでも確かに伝わる一郎の想いに、三郎は、泣きそうになる。
普通が難しくて
同じが難しくて
いつも誰かに頼ってないと、生きていけないと思ってる一郎。
あんなになんでも出来るのに
兄弟でいちばんなこと、いっぱいいっぱいあるのに
何より他の兄弟たちが一郎のこと、いちばん頼りにしてるのに
そんなのをぜんぶぜんぶ
無いことにしてる一郎の抱えてるモノが
三郎は、憎かった。
生きる意味、なんてそんなこと
そんなこと一郎に言わせるそれが、大っ嫌いだった。
でも。
それでも。
「いっちゃん、明日の朝、何食べたい？」
「.....え？」
「俺はね、卵サンド。今日学校に来るパン屋さんで買ったの」
三郎は思う。
「あとね、明日は社会見学なの。ほら、この間話した隣町のケーキ屋さん」
「.......」
「それが終わったらやっと一息つけるから...新しいジーパン、買いに行きたいなぁ」
どうかここに、いて欲しいと。
どんな一郎でも
どう思ってる一郎でもいいから
ここに、そばに、いて欲しいと。
「さぶちゃ...」
「生きてく意味は、あるよ」
自分の中にそれは、存在しなくてもでも。
その痛みを苦しみを、分かち合うことならきっと、自分にも出来ると思うから。
「食べたいものがあって、行きたいところがあって、ほしいものがある。
生きてく意味って、俺ね、いっちゃん。それでいいんだと、思ってるよ」
そうやってこれからも
生きていきたいと思うから。
「卵サンド、きっとおいしいよ」
「......」
「いっちゃんに似合うジーパン、選んであげたいな」
「.....うん」
一郎には、笑っていてほしい。
「一緒に食べよう？それから、一緒に行こう。ね、いっちゃん」
「うん...うんっっ...」
ずっとずっと自分たちの側で、笑っていてほしい。
それは「あの日」から変わらない、三郎の譲れない願い。
その願いを、叶えるために。
笑いながら泣いてるそのひとをいつまでもいつまでも、
守って、いくために。
強く在りたい。
優しく在りたい。
時を重ね強くなる、その想い。
それは三郎にとっても、一郎にとっても。
輝く一筋の、確かな光だった。
15. ひとつめの、『あの日』。→←13. いちと、さぶちゃん。
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マナ - 作者さんに質問です。あなたは茨城県北茨城市磯原町の出身、または住んでいますか？ (2021年11月27日 20時) (
レス) @page1 id: 8df98fa480 (このIDを非表示/違反報告)
檸檬(プロフ) - こんにちは。その後が気になっています。また、お時間あるときに続きをお願いします。 (2021年7月17日 17時) (レス) id: d5f4de7f1a (このIDを非表示/違反報告)
あっちゃん(プロフ) - ううっっ！ いちくーん。以上心の叫びでした。きっとこの先に幸せな未来が来るんだよね？ね？ね？心静かに待ちます。 (2021年1月14日 15時) (レス) id: 178db8b66c (このIDを非表示/違反報告)
みーこ(プロフ) - そか、マイガールだから、舞賀家か〜....なるほどぉ. (2020年8月13日 18時) (レス) id: 84fdbed2f6 (このIDを非表示/違反報告)
mio(プロフ) - あっちゃんさん» 続)「うちのいっちゃん」なあの写真を想像しながら書いてるよ。なかなか筆が進まないことも多いけど、読んでくれたら嬉しいです。本当にありがとう！！ (2020年8月7日 14時) (レス) id: 075ae85cbe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mio
| 作成日時：2020年3月12日 0時
