30. 〜3〜 ページ30
「もうっっ！！笑ってる場合じゃないよ！！
また三点だったらどうすればいいの？オレ」
櫻井さんは、
センターへのデータ転送作業をしていた手を止め、
笑い転げる俺に真顔で真剣に尋ねる。
「なぐさめてあげますヨ」
「…なんだその棒読み。笑」
「夜通し北海道地酒祭り、
付き合いますよ、櫻井さんのオゴリなら♪」
我ながら。
「なんだそれっっ！！笑
しかもオゴリなら♪って！！」
「他に使うところもないでしょう？」
「……それ、言っちゃう系？」
「言っちゃう系です」
約一年前では考えられないやりとりだと、思う。
「………ちぇっ」
「あはははは！！ちぇっ、って。笑」
“鬼の櫻井”
あの頃の、その異名からは想像も出来ないどころか、
ちぇっ、は、ちぇっだ！！と、
ぷんっと口を尖らせ、
転送作業に再び取り掛かる櫻井さんは、
どちらかというと、可愛らしいこと、この上ない。
「ニノだって使い道ないくせに」
あのとき感じた切なさも。
「俺はありますよ？それなりに。」
「えっ！？なになになんだって？？」
「ちょっと。笑 前のめり過ぎです(笑)。」
あのとき感じた、どうしようもない憤りも。
「楽しみだなぁ。
あ、来週発売なんですよ、新作ソフト♪」
「……ってゲームなの(笑)？
もっとおシャンティなことに使いなさい若者よ！！」
「…笑。なんですか“おシャンティ”って」
「え？知らない？俺の中でかなりツボってるんだけどなー」
きっとずっと抱いていた、
空へ向かうことへの、迷いでさえ。
今、櫻井さんの中には存在していないのだろうと信じられるほどに、
その声は、
その微笑みは、
その、瞳の輝きはここに、
清らかで穏やかな空間を、作り出す。
「よっし、がんばろ。」
低く甘い声は、
その甘やかさを増して。
「智くんにね、百点、つけてもらわないとね」
優しくおおらかな笑顔はその、
まろやかさを、増して。
誇り高い意志を宿したその大きな瞳はますます、
空を映して、輝いて。
俺の隣り。
左側から感じるのは、
静かに放たれる威厳はそのままに、
凛とした柔らかさをまとった、確かな存在。
その姿は誰よりも気高く。
誰よりも、美しく。
俺が出会った中でいちばんカッコいい、
『機長、櫻井翔』の、姿だった。
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とも(プロフ) - 初めまして。夢中で一気読みさせて頂きました。始めは興味本位で…段々読み進める度に涙が止まらなくて…そしてもぉ号泣で嗚咽。お話を読んでこんなに号泣したことなんてないですwとっても素晴らしい作品に出逢えて…感動です。ありがとうございました！ (2020年1月12日 23時) (
レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
まこ(プロフ) - あとがきに書いてあった通り、長々と引っ張ったんですね。納得しました。ずうっと、ワクワクしながら読んできたので、何かこの章だけ別物のような…続き楽しみに読みます。頑張ってくださいね (2018年4月10日 13時) (レス) id: cf7dd20e98 (このIDを非表示/違反報告)
まこ(プロフ) - うーん。どうしたんだろう。 (2018年4月10日 13時) (レス) id: cf7dd20e98 (このIDを非表示/違反報告)
日生(プロフ) - 完結、おめでとうございます！言葉が溢れてまとまらないので、感想はまた。本当に大好きです。 (2017年11月20日 23時) (レス) id: 8d640b99f0 (このIDを非表示/違反報告)
リカ(プロフ) - mioさま☆ シリーズ完結、おめでとうございます！ 続編のスタート、またあの5人に会えることがとてもとても嬉しいです！！ これからもお邪魔させていただきますね。 (2017年11月18日 0時) (レス) id: c3477e2eb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mio
| 作成日時：2015年10月12日 0時
