ふたりの小さなお話 (ページ2)

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甘やかして：t ② ページ2

何か食べたいのある？と聞かれ、宮田が食べたいのでいいと答えると、それが1番困るんだよ～と言いながら笑っている。

「ありがと」

まだ奢るなんて言ってないでしょ、なんて宮田は笑っているけれど、きっと俺のありがとうが何に対してかなんてお見通しだ。
そんな俺の小さな精一杯も聞こえてしまうこの距離が近すぎるのかどうかも、もう自分では分からなくなってしまった。
ただ、隣にいることが当たり前だから、手の届く距離にいないとひどく落ち着かなくなることがある。
最近の様にドラマの撮影だったり個人の仕事が詰まっていると、ふと空いた時間が出来た時に履歴から宮田の名前を探していたりする。と言っても、宮田の名前はいつも履歴の上に位置しているから特に意識なんてしていない。そう、別に、無意識に宮田に連絡をとってしまうとかそんなんじゃない。
ただ、宮田の声とか言葉とかが俺の気持ちを落ち着けてくれるのは、ほんと。
もうさ、なんなんだろうね。

「みやたー！」
「なあに、食べたいの決まった？」
「今日は宮田んちでピザパーティーだ！」

えぇ？！と驚く声なんて知らない。
けってーい！と拳を挙げると、ほら、困ったような表情をしてるけど嫌じゃないんでしょ？

「たまのお望みとあらば」
「うむ。」

さっきまでの澱んだ気分はどこかに飛んでったみたい。
すごいな。
本当に、宮田は俺を甘やかすのが上手。

end.