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「寒い？」
『うん、寒いよ』
「鼻の先、赤いもんな」
顎に触れていた手が離れて、私の鼻先を人差し指でツンと触ってきた。
『マフラーしてたのに赤くなってる？』
「うん。でもそれが可愛い。俺、秋とか冬に寒がってる女の子可愛くて好き」
『でた、変態』
離れていた手がまた近づいて、そのまま頬をつねってきた。
『ね、中村の手冷たい』
私の言葉を気にせずに、つねっていた指を離して、手のひらで私の頬に触れた。
『もっと冷たいんだけど』
何がしたいんだろう。
私のことをいじってきてるのに、いつもみたいに笑わないのはどうして？
「ねぇ」
『ん？』
ずっと目が合う。
あまり見ない中村の真剣な顔、今日は沢山見るなぁ。
「今って、ドキドキしてないの？」
『ドキドキって？』
「心臓バクバクしてない？」
『してないよ』
「……そうなんだ」
真剣な顔から一変、なんだか今度は寂しそうな顔。
今日の中村、不思議かも。
『ダメ？』
「お前本当に無垢っつーか、無知すぎて心配になるわ」
『どういうこと？』
「いつか気が向いたら教えてあげる。まぁでも、教えるより先に自分で気付くかもしれないけど」
『なんか、頭良さそうに話す中村ムカつくんだけど』
「ま、俺天才だし？」
『ウザい』
冷たい手がやっと離れたと思うと、鼻を指で摘んできた。
私はそのせいで鼻呼吸ができない。
『ちょっ、』
「悪い口叩くヤツは、鼻塞ぎの刑」
タハッ！と大きな声で笑う中村はいつも通りで安心する。
『離して！』
睨みながら話すと、鼻を摘まれているせいで鼻にかかった声になる。
「ふは！お前の鼻声おもしれぇな！」
『ねぇ、』
「はいはいわかったって」
……あ、いつもの中村に戻った。
さっきのはなんだったんだろう？
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作者名：愛生
| 作成日時：2023年12月4日 1時
