46 ページ46
.
私の勘が悪いからか、中村は説明を諦めたみたい。
『何その意味深な感じ』
「俺的には、気付かなくていいと思ってるけど」
『さっきから意味わかんない』
「ほら、駅着いたから帰りな」
あしらうように私を帰らせようとする。
さっきの しおらしいって、控えめって意味？
乙女って、女の子らしい人は私みたいに中村と喧嘩しないってこと？
あぁ、そうか。
私がいつも中村に心無い言葉ばかりかけているから……
『中村』
「ん？」
『いつも、強く当たってごめんね』
「急にそういうこと言うの、気持ち悪いからやめろよ」
さっきは優しかったのに、また中村は眉間に皺を寄せている。
いつもよりころころと変わる表情。
『やっぱり私 変？』
「変ではないけど、いつもとは違うよな」
『……』
「俺は、威勢が良くて元気なAが好きだよ」
あれ？さっきは しおらしいのも良いって言ってたのに。
中村の考えていること、よくわからない。
『元気、無いように見える？』
「元気だけどさ。なんつーか、変わったなって」
『……そっか。私どうしちゃったんだろう』
恋については、宮近くんのおかげで解決したはずなのに。
朝だって、海斗にスッキリした顔してるって言われたのに。
宮近くんとの接し方だけで、こんなに悩むの？
どうして宮近くんだけ、ふたりと同じように接することができないの？
私、何が変なんだろう。
駅前に立ち尽くして考えていると、家に帰ろうとしていたであろう中村が正面から近づいてきた。
「顔、見せて」
黙ったままの私のマフラーを引っ張って下げると、そのまま顎に手を添えて顔を無理矢理上げられた。
目が合った後、さっきまでマフラーに埋まっていた鼻や口を見てくる。
『……なに』
流石に いつも一緒にいても、こんなに顔を見つめられるとどうしていいか分からない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 214人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：愛生
| 作成日時：2023年12月4日 1時
