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中華まんを食べ終えて、コンビニの中にあるゴミ箱に外袋を捨てたあと、また並んで歩きだす。
『宮近くん』
「ん？」
『私、宮近くんと帰る時間 好き』
「ふふ、そうなんだ」
寒いけど、心が温かくなる感じ。
『だって 中村といたら楽しいけど、すぐ喧嘩しちゃうし』
「それ海人が聞いたら傷つくよ」
『それにね、まちゅと一緒にいたとしても楽しいけど、代わり映えしないっていうか』
「それは松倉が聞いたら泣いちゃうね」
『何故か分からないけど、宮近くんとの時間が一番好きな気がする』
「まぁ、ありがとうね。そう言ってくれて」
上手くかわすようにお礼を言われた。
……まって、私 何言ってるんだろう。
『……今の、忘れて』
「もしかして、自分で言って照れてる？」
立ち止まると、覗き込むようにして目を合わせられる。
恥ずかしくて、いてもたっても居られなくなって両手で顔を隠して頷いた。
隣では、すごく楽しそうに笑っている声が聞こえる。
宮近くんにこんなに笑われたの初めて。
『ちょっと、笑いすぎ！』
指の間から宮近くんを見ると、お腹を抱えて笑っていた。
「それ、好きな人が出来たら言ってみなよ」
顔を隠していた手に触れられて、そのまま顔から離される。
腕を掴まれたまま、顔をのぞき込むように近づいてきた宮近くんは優しく笑った。
「可愛いよ」
“可愛いよ” という宮近くんの声が頭の中でこだまする。
可愛い、かわいい、カワイイ……
心臓がバクバクして、上手く息ができなくなる。
何これ、怖い。
『ダメ、恥ずかしい。本当に忘れて？』
「んふ、やだ」
『お願い。恥ずかしくて消えたくなる……』
「大丈夫、恥ずかしさで死んだりしないから」
やっと手を離してくれた宮近くんは、絶対に私のことをいじってる。
私、何言ってるの？
本当に恥ずかしすぎるよ。
『もう、そうじゃなくて！』
「わかったよ、忘れるって」
『絶対忘れてね？』
「わかった。ほら、帰るよ」
笑いながらそそくさと歩いていく宮近くんに急いでついて歩いた。
宮近くん、寝て起きたら忘れていてくれないかな……
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作者名：愛生
| 作成日時：2023年12月4日 1時
