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『ごめんね』
「別に」
『別にってことはないでしょ。女の子ふたりに囲まれて楽しそうだったじゃん』
「なんでそう思うんだよ」
『女の子たちともっと話したかったんじゃないかなって、ただそう思っただけ』
高校生の頃よく聞いていた特徴的な笑い声だって聞こえてきたし、顔だってデレデレしてた。
だから、てっきりそうだと思っていた。
ため息をついたあと"お前さ"と少し怒り口調になった。
「好きだった女が持ち帰られそうになってるとこ見たら、そりゃあ止めに行くだろ」
『……』
「しかも親友の彼女だし。止めないバカがどこにいんだよ」
『……そうだよね、ありがとう』
"さっきタクシー呼んだ。もうすぐ来るから"
そう言って頭を撫でてくれるのが心地よくて、いつの間にか気持ち悪さが消えていた。
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目が覚めると、知らない天井。
あれ、私結局あの後どうしたんだっけ。
中村がタクシーを呼んでくれて、その後。
……ダメだ、全然思い出せない。
ここ、中村の家？
大丈夫だとは思いつつ、自分の服が乱れてないか見て、何も無かったことを確認した。
ベッドから出て、ソファーに近付くと誰かがブランケットに器用に隠れて寝ている。
『中村……？』
声をかけると、中にいた人がモゾモゾと動く。
「……ん、おはよ」
ブランケットから顔を出したのは、想像していた人とは違ったみたい。
『……え？』
「んふ、海人かと思った？」
眉間に皺を寄せながら、少し笑って寝ぼけた掠れ声で話す彼。
『宮近くん、どうして？』
「んー……」
寝起きが悪いのか、またブランケットを顔まで被った宮近海斗くん。
中村と同じく、高校でよく一緒にいたカイトのひとり。
……そして、かつて私が好きだった人。
『宮近くん？』
声をかけても反応がない。
……寝ちゃった。
部屋を彷徨いて自分のカバンを見つける。
スマホの画面を開くと、彼氏からの連絡が来ていた。
"明日、10時に迎えに行くから"
メッセージが来ていたのは昨日。
つまり明日というのは今日のことで、デートする約束をしていた。
現在時刻は8時半。
……マズイ、やらかした。
『宮近くん、起きて』
「んん、なに……？」
寝ている家主を起こすのは気が引けるけど、聞きたいことがあって、ブランケットを少し引っ張って顔を見る。
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作者名：愛生
| 作成日時：2023年12月4日 1時
