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海斗への気持ちが幼馴染としてなら、私の恋心はどこにあるんだろう。
『……分かんない』
「男と女で、そこら辺の価値観は違うかもね」
『女の子の友達に聞いても、みんな好きな人には会いたい、触れたい、話したい。ドキドキするって』
「そうだね。もちろんそれはある」
『私、友達としてしか そんなふうに思ったことがないの』
中学の頃の同級生の親友に連絡して聞いてみても、高校1年生の時に仲良くなった女の子に聞いてみても、みんな同じようなことしか言わなくて。
でも、それほどみんな同じ感情を抱くのが恋なの？
分からないよ、恋なんて授業で習わないし。
『……やっぱり私、おかしいのかな』
周りの子達は恋してから恋する乙女と言わんばかりにどんどん可愛くなっていって。
私は何も変わらない。
『みんな、恋して、キラキラしてて。でも私はその気持ちが分からなくて……』
「A」
何故か泣きそうになっていると、宮近くんは私の頭に手を乗せて、優しく撫でてくる。
「大丈夫。AはAのままでいればいいよ」
宮近くんはやっぱり不思議な人。
言葉がスっと心に入ってくる。
……そうだ。
私、周りに置いていかれるのが怖かったんだ。
「焦らなくて大丈夫。恋するのが遅くても、友達はいなくならないでしょ？」
『うん』
「ひとりじゃないよ、Aは」
魔法使いみたいに、不思議な力で私の悩みを吹き飛ばしてくれる気がする。
「だから泣かないで」
『……ごめんね、泣くつもりなんてなかったのに』
「これじゃあ、俺が泣かせたみたいだな」
頭に触れていた手は、いつの間にか頬に触れていた。
親指で涙を拭ってくれる宮近くんは、優しくて、温かくて、素敵な人。
『ありがとう、宮近くん』
「部活終わったら声掛けに来るから待ってなね」
頷くと、“いい子” と頭を撫でて教室を出ていった。
やっぱり、いつもの4人でいる時と比べてふたりでいる時の宮近くんの方が、近くて、甘くて、狡い。
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作者名：愛生
| 作成日時：2023年12月4日 1時
