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あの日、恋について考えるようになってから、なんだか気持ちはずっとモヤモヤしたまま。
どうしてモヤモヤしているのかも分からず、自分でもボーッとしてる時間が増えたと感じる。
帰りのホームルーム中、雨が降ってきた。
サッカー部は今日も隠れ鬼をするのかな？
だとしたら、また教室にいたら宮近くんにふたりで会えるかな？
ホームルーム終了のチャイムが鳴って、またボーッとしていたことに気がつく。
今日は金曜日だからか、周りの子たちのテンションが高い気がした。
「またボーッとしてんのかよ」
『あ、うん。ごめん』
目の前に現れた中村は、ダルそうに私を見た。
「帰るぞ」
……どうしてだろう。
「A、帰ろう」
毎日お昼に一緒にご飯を食べたりしているのに、今は宮近くんにふたりで会ってもう少し話をしたいと思っている。
もっと、知りたい。
「A！」
『っ、なに？』
「まじでお前最近おかしいって」
『……ごめん、今日は一人で帰って？』
「は？」
一気に不機嫌になる中村。
そりゃあそうだよね、だって理由も話してないし。
『私、ちょっとやらなきゃいけないことあるから』
「何すんの？学校で？」
『ちょっとね。先生から頼まれごと』
嘘をつくのが苦手な私にしては、上手く話せたと思う。
「うわ、それはダルいから俺先帰るわ」
『ごめんね』
案の定、中村は深掘りせずに逃げるように帰ろうとする。
「でも帰り道気をつけろよ？そんなにボーッとしてたら、いつか車に轢かれるぞ」
『うん、気をつけるね。ありがとう』
「じゃあ、また来週な」
席に座ったまま、中村に手を振って教室に残った。
その後、自習をしたり、スマホをいじったり、時間を潰しているけどなかなか宮近くんは来なくて。
サッカー部、今日は隠れ鬼してないのかな？
もう諦めて帰ろうか、そう考えていた時
「A？なんで残ってんの？」
ジャージ姿で現れた宮近くん。
宮近くんとふたりで話したかったなんて、言えない。
『えっと、ちょっとね』
「また傘忘れた？」
折り畳み傘はカバンの中にある。
でも、それは言わない方が良さそうだ。
『……うん、忘れた』
「そっか」
教室の中に入ってきて、座っている私の目の前に立った。
「じゃあ、また一緒に帰る？」
そして、私が欲しかった言葉をくれる。
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作者名：愛生
| 作成日時：2023年12月4日 1時
