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さっきよりも力を強めて抱きしめると、海斗は耳元で少し笑って抱き締め返してくれた。
海斗、いつの間にかこんなに男性らしい体格になってたんだ。
前はもっと細くて、折れちゃいそうだったのに、今は腕を回すので精一杯。
『そういえばお粥作ったの。持ってくるね』
離れようとすると、何故か海斗の腕に力が入る。
『海斗？』
「……こうやってハグするの、小学生ぶりだからさ」
『うん』
「もう少しだけ、このままで居させて」
弱った声でそんなこと言われたら、断るわけない。
私の首に顔を埋めて、ただ何も言わず優しく抱きしめられる。
なんだか、海斗に包まれているみたいで落ち着く。
「ちゃかにも、謝らないとな」
『そうだね』
「Aって、ちゃかのことどう思ってんの？」
『え？どうって？』
「好きなのかなーって」
『好き？』
「ちゃかのこと、異性として好き？」
実は、今まで誰かに恋をしたことなんて無かった。
“付き合う”っていう言葉すら不思議というか、友達と恋人で関係性が変わりたいと思うことが無くて。
私がそういう考えだってこと、海斗はよく知っているはずなのに。
『海斗知ってるでしょ？私が今まで恋したことないってこと。だからわかんないよ』
「もっと話したい、会いたい、触れたいって思ったりしない？ドキドキするとか」
ドキドキ……
昨日宮近くんに感じたあの緊張感は、ドキドキしたっていうこと？
でも別に、もっと話したいとか会いたいとかは思わなかったけど、知りたいとは思った。
というか、海斗と喧嘩したから考える余裕なんてなかったし。
『……そういうの、やっぱり私にはまだ分からないや』
「ん、そっか。じゃあいい」
『何その反応』
「気にしないで。俺お粥食べたいな」
「わかった。温めてくるね」
海斗から離れて部屋を出ると、リビングには海斗のお母さんがいた。
『あ！海斗ママ、おかえりなさい』
「ただいま。海斗の看病してくれてありがとうね」
『海斗さっき起きました。まだ熱はあるみたいなんですけど、食欲出たみたいなのでお粥持っていこうとしてました』
「お鍋の中、気になって覗いちゃった。相変わらず美味しそうな卵粥ね」
『ありがとうございます』
海斗のお母さんは、海斗と同じで優しくて、どこかふわっとした可愛らしい雰囲気の女性。
言葉遣いも可愛らしくて、密かに憧れのような人。
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作者名：愛生
| 作成日時：2023年12月4日 1時
