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お粥を作り終わってから、海斗が心配でベッドの横に座っていたら私も寝ていたみたい。
起きると、暖かい何かが頬に触れていた。
目を開けると、私はベッドを枕のようにして座ったまま寝てしまっていたようで、寝転がった海斗が私の頬に触れていた。
「おはよう」
いつもの元気はなくて、力なく笑う海斗。
『ごめん。私寝ちゃってた』
「風邪うつしちゃうから帰って」
そう言いながら、カイロのように暖かい手が私の頬を撫でる。
さっきよりは熱が下がったのか、息が乱れていなくて安心する。
『……海斗』
昨日無理にでも傘に入れてあげなくてごめんね、そう言おうとしたのに
「ごめん、俺昨日しつこいとか言って傷つけた」
海斗の方が先に謝るんだ。
『……そんなの、もう忘れたよ』
さっきの海斗の苦しそうな姿を見たら、いなくなっちゃうんじゃないかって不安な気持ちを味わったら、昨日の喧嘩なんてどうでもよくなった。
頬に触れていた手は、私の頭に移動してポンポンと撫でられる。
「優しいな」
『昨日傘に入れてあげられなかったから、海斗こんなに酷い風邪ひいちゃったんだよね。ごめんね』
「いや、それは全部俺の自業自得だから」
体調が悪いうえに、私のせいで落ち込んでしまっている海斗を見ていられない。
宮近くんが言っていた、心の余裕がなかったのかもしれない海斗は何を考えていたんだろう。
『海斗、悩んでることない？』
「悩んでること？」
『だってあの時、いつもと違う感じしたから』
「……悩んでることなんてないよ。ありがとう」
何かを隠している、そんな気がしたけどしつこく聞いてしまうのはもう辞める。
だから……
『海斗、ハグしていい？』
「え？」
『お願い。ギューってさせて』
「わかった、いいよ」
ハグしやすいように少し身体を起こしてくれる。
ベッドの上に乗ってギュッと抱きしめると、海斗の身体はとても暖かい。
『海斗、暖かいね』
「そりゃあ熱あるし」
このまま寝たいと思うほどポカポカで、海斗は熱があって苦しいはずなのに、私には今この海斗の暖かさが心地良い。
『さっき、海斗がこのままいなくなっちゃったらどうしようって考えてたら、怖くて涙出ちゃった』
「大丈夫だよ。いなくならない」
『絶対？』
「絶対」
こうやって、昔から海斗は私が不安になった時に一番安心する言葉をくれる。
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作者名：愛生
| 作成日時：2023年12月4日 1時
