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『まちゅは熱出ちゃってお休み』
「そっか、クラ熱出てんだ。心配だな」
『うん……』
だって、私のせいだよ。
そんなの心配だし、申し訳ないし。
本当なら学校なんて休んで、海斗の看病をしてあげたい。
「やべ、時間！お前ら走るぞ！」
そんな私の気持ちとは裏腹に、中村は私の手を掴んで学校へ走り出した。
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お昼休みの時間、いつもいるはずの海斗がいなくて。
ひとりいないだけでこんなにも静かになるんだと実感した。
放課後になって、中村に“今日は海斗の看病をするから”と話して、私は急いで荷物を持って教室を出た。
いつもより何本か早い電車に乗って海斗の家へ向かう。
念の為インターホンを押してから、鍵を開けて中に入って、海斗の部屋にまっしぐら。
『海斗、入るよ』
声をかけて部屋に入ると、ぐっすり寝ている姿。
鼻の調子も悪いのか、口呼吸で苦しそう。
冷えピタを貼り替えて、勝手に体温計を服の中に入れて熱を測る。
まだ38.8度と高い。
解熱剤は飲んだのかな？
海斗のお母さんが用意したであろうスポーツドリンクは、ペットボトルの中が空になってベッドの下に転がっていた。
どこかにスポーツドリンクある？
“家族も同然だから、なんでも好きなように使ってね。お腹減ったら家にあるもの食べていいからね”
海斗のお母さんからは、常々そう言われている。
そうは言っても気が引ける。
でも海斗の体調不良ならと、冷蔵庫を開けるとスポーツドリンクが並んでいる。
1本手に取ると、私宛に“なんでも食べてね”と書かれたメモがテープで貼り付けられていた。
海斗のお母さん、なんでもお見通しみたい。
同じように看病したことは今までもあるから、きっと海斗のお母さんも慣れたんだろう。
……お粥、作ろうかな。
一度海斗の部屋に戻ってスポーツドリンクを置いたあと、お米と水を鍋に入れてお粥を作る。
卵粥にしようかな、なんて完成したお粥を見ながら卵を手に取って考えていると、海斗の部屋から物音がした。
『海斗……？』
急いで部屋に向かって覗くと、うつ伏せで床に倒れるように寝そべっていた。
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作者名：愛生
| 作成日時：2023年12月4日 1時
