27 ページ27
.
誰にも聞かれたくないこともある、そう考えたら、海斗が私にしつこいと言ってきた気持ちは分かる気がする。
早く仲直りしたいけど、しつこいって言われたら流石にこちらから会いに行くのは気が引ける。
明日、学校に行く時もひとりかな？
……寂しいよ。
「仲直り出来るといいね、松倉と」
『え？私まちゅと喧嘩したなんて一言も……』
「話聞いてたらそれくらい分かるよ」
宮近くんの優しい声。
普段気にしたこと無かったけど、こんなに優しい声色だったんだ。
「スッキリするまでこのまま泣いてもいいし、泣くのが嫌なら俺がギャグで笑わせようか？」
『宮近くんがギャグ？』
「そう、ギャグ」
『ふふっ、宮近くんがギャグ言うの想像できない』
「俺結構言うよ、さむーい親父ギャグ」
さっきまで泣いていたのに、いつの間にか宮近くんのおかげで笑えている。
『てっきり宮近くんって私のこと嫌いなのかなって思ってた』
「なんで？」
『男の子たちといる時はふざけたりはしゃいでるのに、私と話す時ってそういうギャグ言うのとか全く見たことなかったから』
「そういうことね」
『宮近くんが楽しく居れないなら、私だけ宮近くんたちとお昼ご飯食べたりするのやめた方がいいのかなとか、考えたりしてた』
「大丈夫だよ。Aと海人の喧嘩とか見てるの面白いし」
『それは お騒がせしてすいません』
「んふっ、それにね」
宮近くんの声がさらに優しくなって落ち着く。
「俺だってずっとふざけてる訳じゃないし、昼休みとかは あぁやって4人でいる方が落ち着くんだよ」
『そっか。それなら安心した』
「ん、俺も話せてよかった」
私、宮近くんのことよく分からない不思議な人だって思ってた。
『……私ね、宮近くんのこと』
“もっと知りたい” そう言おうとした時、部屋の扉をノックする音が聞こえた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 215人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：愛生
| 作成日時：2023年12月4日 1時
