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「なんでここで寝てたの？」
『傘持ってきてなくて、夜なら雨がやむって予報出てたから教室で時間潰してたんだけど、眠くなって寝ちゃった』
「へぇ、そっか」
外を見る宮近くんは、天気を気にしているみたい。
予報ではもうそろそろのはずなのに、全然雨がやむ気配は無い。
「もう少しで部活終わるから、それ着てここで待ってて」
私の頭を撫でた後、私が持ったままのジャージの上着を指さした。
『え？』
「じゃ。ちょっと鬼に見つかりに行ってくる」
そう言って、教室を小走りで出て行った。
ここで待ったとして、その後は？
一緒に帰るってこと？
宮近くんと2人で帰ったことなんて今までなくて、なんだか緊張する。
言われた通り、手に持っていたジャージを着て待っていると、制服に着替えた宮近くんが戻ってきた。
「おまたせ」
『お疲れ様』
「ほら、帰るよ」
そう言って、教室には入らず出入口で立ったまま。
やっぱり一緒に帰るってことだったんだ。
宮近くんと帰るなんて何を話していいか分からないし、ふたりで帰るの？本当に？
そう考えながら椅子に座り続けていると、宮近くんは優しく笑う。
「おいで」
……かっこいいと思ったなんて、口が裂けても言えない。
いつも一緒にいる、所謂いつメンと言われている人の中に、かっこいいなんて言ってくる人がいたら気まずいでしょ？
よくテレビで“おいで”と言う男の人にキュンとくるなんて話しているのを見ていたけど、これの事なんだ。
「ボーッとしすぎ」
『うわっ！』
近くで声がして、気が付くと目の前に宮近くんの顔。
「幽霊見たみたいな反応すんなよ」
『ご、ごめん』
「行くよ」
歩き出した宮近くんに続くように、立ち上がって教室を出た。
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作者名：愛生
| 作成日時：2023年12月4日 1時
