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『え、合コン？』
「そう、ごめんね。言ったら来てくれないかなって思ったから」
“騙すようなことして悪いと思ってるの。今度なにかお礼するから”
そう話すのは、大学で同じゼミの女の子。
大学にあまり友達がいない私は、彼氏がいることもこの子には話さずにいて。
今日はゼミの飲み会と言われて来たのに、いざ来たら、合コンに人数が足りないからと、人数合わせの要員にされていた。
『ごめん、私帰る』
「お願い人助けだと思って、座ってご飯食べてるだけで大丈夫だから！何かあったら私が助ける！」
『本当に助けてくれる？』
「もちろん。ね？お願い」
可愛い白のワンピースを着こなす彼女は、本当に困った顔をしていて、自分でもお人好しだと思いつつ腹を括る。
『わかった。でも2軒目は行かないからね』
「大丈夫！抜け出せるように話回すね」
手を引かれて入った居酒屋。
6人のテーブル席に着くと、同じゼミの女の子が1人、それと向かい側に男の子が3人。
手を引いていた女の子は私から手を離して"ごめんお待たせしましたー！"なんて可愛い笑顔でお茶目に話し出す。
……こういう場、苦手。
それに、彼氏にバレたら怒られちゃう。
向かい側にいる男の子たちと目が合わないように、ずっとテーブルにあるドリンクメニューを見つめる。
“とりあえずみんな生でいい？”なんて声がかかる。
帰ることしか考えていない私には何でも良くて、当たり障りないように頷いた。
「じゃあ、とりあえず乾杯しますか」
明るい乾杯の音頭と、ジョッキ同士がぶつかる音。
ひと口ビールを飲んで、運ばれてきた前菜を見つめる。
先に来ていた女の子が率先して前菜を取り分けて、ここぞとばかりにアピールしだす。
私はずっとジョッキを手に持ったまま。
「早速自己紹介でもしようか！」
向かいにいる男の子が、軽快に話す。
そっか、これって私もしないといけないのか。
「じゃあこういうのは男から行くか！」
向かいの男の子から自己紹介が始まる。
時計回りと言われて、私の順番は最後。
男の子ふたりの自己紹介が終わっても、私は相変わらず目を合わさずにいる。
ノリの悪い私を連れてきたことに後悔したらいいのに、なんて思っている私は性格が悪いよね。
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作者名：愛生
| 作成日時：2023年12月4日 1時
