わたしの隣 (ページ8)

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心ここに在らずページ8

ユマ「はい定時、おつかれさまでした」

『おつかれさまぁ』

ユマ「なに、すごい老けたじゃん」

『うそでしょ、やだやだ』

ユマ「ゆっくり休みなね、今日特に雑務激しかったから」

『うんだよね』

あ、ユマちゃんこの後デートか
いいなあ

ユマ「じゃあお先に」

『おつかれ楽しんでね』

ユマ「ありがと」

ほっそい足のユマちゃんが遠くなって行く

ああ、ほんとに疲れた眠いなあ

デスクに突っ伏したままぼーっとする

隼くん帰ってきたかな
夜ご飯ちゃんと食べてるかな

「...の、...あの、」

『...うあ！』

びっくりしたあ

『ハ、ハヤマさん』
「僕、そろそろ上がりますけど」

そんなハヤマさんの言葉に慌てて時計を見る

『やだ！8時！』

残業なんて滅多にしないけど残業したってこんな遅くなったことなかったのに

『ごめんなさい！私も上がります！』

急いで荷物まとめて
ハヤマさんに、後はやっておくのでって伝えて

電気を消して、フロアのドアを閉める

『うわ、』
「おつかれさまです」

『まだいらっしゃったんですね、』
「いや、さすがに任せっぱなしで帰るのは..」

ああ親切な人なんだねこの人は

『ぜんぜん
そんなこと大丈夫ですよ』
「じゃあ帰りましょうか」

『はい、え』

え、一緒に？

そこから無言で歩けばエレベーターについて
密室のボックスの中でわたしとハヤマさんのふたりっきり

大人っぽい爽やかな香りが鼻をかすめる

この匂いも素敵だけどやっぱり隼くんの方が落ち着くなあ

『じゃあ、わたしはこれで』
「遅くなっちゃったし、僕もそっちなんで途中までご一緒しますよ」

ええ、いいけどこんなイケメンと初日からこんな調子じゃ周りの目が怖いよ

会社の出口で周りに社員の女の子がいないことを確認して歩き出す

はあ
こんなビクビクしながらなんて心臓悪いよお

隣で話すキレイな横顔のハヤマさんを見ながら
心はココにあらず