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「降谷さん、私は子供ではないのですが…」

「Aちゃんが興奮で眠れないと思ってね」

「それに、奥方様を娶られていない降谷さんと床に就くのは…いささか気が引けます、やはり私は床で」

「ダメだ、女の子を床で寝させるわけにはいかない、それに…気にするとしたら普通は逆だろ?Aちゃんは年頃の女の子な訳だし…」

「いえ、私はもう適齢が過ぎた21歳の身、それに嫁ぐような身でもありません」


降谷は目を見開いた。

未成年だと思っていた彼女が、21歳だったと云うことに。
そして彼女が言い澱むことなく、自分は嫁ぐような人ではないと云ったことに。


「合同任務の時は他の男隊士達と雑魚寝が当たり前でしたから、気にはしません、ですが降谷さんに申し訳なく……」

「……Aちゃん、この時代に適齢はないんだ、何歳だろうと好きになった人と一緒になるんだ」

「っ!!…とても素晴らしいことです、ですが、そうだとしても、私は…とても嫁ぐ身ではありません」


Aはそっと手を上に翳した。

袖が落ち、Aの白磁のような腕が露になる。無数の古傷はもちろん、肘から手首にかけて深い古傷があった。
まさに、戦場を駆け抜けている者の腕。
降谷は生々しいその傷たちに思わず息を呑んだ。


「後悔はありません、日輪刀をこの手に握った時…改めて誓いました、すべての鬼達を狩り尽くすと」


強く覇気のある声。

降谷はAの気持ちに痛いほど共感した。
目的は違えど、その目的を達成する為には、どんな手段でも厭わない…例えそれが、己の身や心を引き裂くような事態になろうとも。
その気持ちが、降谷はAと一緒だと感じた。

降谷の手が、Aの掲げられた手に寄り添うように重ねられる。

Aはハッとしたように降谷を見る。
降谷は真っ直ぐと上を見ていた。
蒼色の瞳は、優しく…何処か儚さを帯びている。


「僕も、この国を護るために…すべてを捧げようと思っています」


Aの目が見開き、思案するようにゆっくり瞬きをすると、上を向いた。

自身の手に重なる褐色の手。
彼の腕にはしっかりと筋肉がついている。
…きっとそれは、彼の云う信念を貫く為に、彼自身が努力をして得たもの。

心に灯る、仄かに温かいなにか。


彼もきっと、私と同じなのだろう。


そう思うと…何処か胸が、温かくなるのだ。



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漂白剤 - 面白い・・・・・・主人公可愛い・・・・続きが楽しみ!!! (2020年9月20日 13時) (レス) id: 836661e0c9 (このIDを非表示/違反報告)
癒秘松(プロフ) - 面白いです頑張ってください! (2020年6月22日 14時) (レス) id: ac573f2cb6 (このIDを非表示/違反報告)
斑鳩(プロフ) - あれ?コメント出来るようになってる…!夢主さんと降谷達のジェネレーションギャップが良いですね!今後も頑張ってください! (2020年5月20日 13時) (レス) id: e4a4760cd6 (このIDを非表示/違反報告)
ぱすてるくれよん - すごく面白くて読むのがとても楽しいです!!私はコナンも鬼滅も好きです(赤井さんと無一郎が特に)更新頑張ってください! (2020年5月19日 22時) (レス) id: 79fdb8f695 (このIDを非表示/違反報告)
花璋(プロフ) - なんかもう本当に大日本帝国であった頃の文化や価値観を文章として巧みに表現なされていて、読んでいて自然と居住まいを正してしまうような、素晴らしい文章力にコメントが上手くまとまらない程感動しました!類を見ない異色の合わせに今後の展開がとても楽しみです! (2020年5月3日 21時) (レス) id: 16d4e71997 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:水梨リンゴ | 作成日時:2020年4月28日 18時

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