呼吸の調べを知るものよ。【鬼滅の刃×名探偵コナン】

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そっと目蓋を開ければ、生成色の天井が映る。

嗅ぎ慣れない匂いに顔を横に向ければ、降谷さんが寝ていた。
突っ伏したように寝ているのを見る限り、私に付き添っていてくれたのだろう。


「………」


恐る恐る手を伸ばし、降谷さんの頭に触れる。手の平から伝わってくる温もり。

さっきの冨岡には、感じなかったもの。

目頭が熱くなり、目尻から涙が流れ落ちるのが分かる。
瞼が腫れているのか、涙を流す度に熱く、麻痺したような感覚に陥る。
だが、この涙を止める術を私は知らない。


「ん……A、ちゃん？」


掠れた降谷さんの声に手を退ける。

頭をあげた降谷さんと目が合う。
相も変わらず、宝玉のような青い綺麗な瞳に見惚れてしまう。褐色の肌が、降谷さんの金の髪と青い瞳をより引き立たせている。

そっと涙が拭われる。


「大丈夫か……？」

「っ……」

「……お腹は空いてない？一応、作ったんだけど……」

「っ、！？」


思わず目を見張ってしまう。

今、降谷さんはなんと…？
作ったと、料理を作ったとそう言ったのか？食事を作るのは女の役目なのに。

ハッと気づく。

そうだ。命の恩人であり家主である降谷さんや、ご友人であられる諸伏さんと赤井さんには挨拶をしたが、降谷さんの奥方様には挨拶をしていないのだ。
これは失礼だぞ。無礼にも程がある！！
確かに家を護るのは男だが、一家の内事を護るのは女。
つまり、家庭を護る誇り高き女性に挨拶もせずに、眠っている訳にはいかないのだ！！

未だに痛む腹を押さえながら起き上がり、降谷さんを見る。


「降谷さん！降谷さんの奥方様はどちらにいらっしゃいますか！？」

「っぶ！！」

「だ、大丈夫ですか！？何か喉に詰まったのですか！？」


咳き込む降谷さんの背中を擦る。



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