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正しい嘘つき(W桃) ページ6
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夏の暑さが過ぎ去った秋口の昼下がり、公園のブランコに揺られる男女二人。
これが若者でいうエモい、というやつだろう。
「若者って、Aさんも充分若者やないですか。」
隣で勢いよくブランコを漕いでいる小瀧が呆れたように言う。
私と小瀧は同じ大学の、もっと言えば同じゼミの先輩後輩で、私は院生2年目、小瀧は学部生3年目。
ほら、3つも離れている。
たしかに世間一般から見たら私も若者の部類に入るのだろうが、
私から見た小瀧だって立派な若者だ。
「20代の3歳差はでかいんだよ。
ジェネレーションギャップ感じまくりだよ。」
「それが俺の告白断り続けてる理由ですか？」
「･･････急にぶっこんでくるね。」
「いつも曖昧にはぐらかされるんで今日こそはと思って。」
「･･･まあ理由の一つではある。」
この物好きな男は、半年前にゼミに入ってから事あるごとに私のことを好きだと口にする。
最初の頃は困惑したし丁寧にお断りしていたが、
毎度毎度まるで挨拶かのように軽々しく言われるため、最近では本気かどうかも怪しくなってきた。
「俺はこんなにもAさんのことが好きやのに。」
「そういう甘ったるいこと恥ずかしげもなく言えるのも若い証拠だよ。」
「Aさんにやからですよ。
他の人やったら言えへん。」
「どうだかな〜。」
いつものように適当に会話をする。
側から見たら、とても愛の告白をしている雰囲気には見えないだろう。
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作者名：うにこ | 作成日時：2021年1月17日 23時
