溺愛家族【桃】

第4話 ページ5

Aside


ある日の昼下がり、

あれからと言うものの、さとみが頼み込んでくれたせいか、

私はデスクワークだけをしている。

今なら看護師っすって言ってもバレないんじゃないか

なんてくだらないことを考えながら、

パソコンと睨めっこをしている。

だいぶ膨らんできたお腹に時々触れると、

ぽこって蹴ってくれる。

それだけで、仕事が頑張れそうな気がして。


さ「おーい、そろそろ昼飯食いに行くべ。」

『ほーい。』


背もたれに寄っ掛かっていると、

仕事を終えたのか、少し疲れ気味のさとみ。


『お疲れさん。ミルクティーいる？』

さ「いる。」


そんな他愛もない話をする。

こういうときが一番平和だと感じる。

一時期色々あったしなーと感慨に耽って、

昼食に手をつける。

最近は悪阻も収まって、色々食べれるようになった。

なり始めの頃なんて、

何を食べても気持ち悪くなって、

グレープフルーツを見つけるまで

殆んど何も食べれなかった。

ころん曰、

「すんごい顔してたよ。」

らしい。

悪阻は収まったけど、次はどんどん体が重くなって、

仕事をしていく上での課題が無くなったと思ったら、

すぐに出てきてしまった。


『そりゃそうか……双子だもんね。』

さ「どうしたの？」

『いや、そろそろガチで仕事休もうかと思って。』

さ「あー………俺も休み取ろうかな…？」

『あぁ〜、でもいいや。………患者さん困るでしょ？』

さ「まぁ、そうかも知れないけど……俺は医者である前に、お前の旦那であって、この二人の父親だ。ワガママかも知れないけど、患者さんも家族も、どっちも優先したいって思う。」

『………』

さ「だから、俺もたまには休みだって取るし、前にも言ったみたいに、悩み事は隠さずに、どんな小さな事でもいいから言って欲しい。」

『………ありがと』


こんなにいい旦那さんがいて

私ってば、つくずく幸せな奴だ。

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