構ってください降谷さん【降谷零】新作予告の為の更新

◆30.心を掴んで離さない ページ31

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どんな注文にもどんなお客さんにも、笑顔で真摯に対応する彼の姿は実にスマートだった。






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コップを落とし、割ってしまって泣きそうになっていた小さな女の子に


“お怪我はありませんか…？”


と優しく笑いかける安室さんを見て、危うくキュン死するところだった。





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あぁ、きっとこの子も彼の虜になっただろう。




お気の毒に……、
一度惚れたら最後、骨の髄まで侵食されちゃうのに、なんて自分のことは棚に上げて、少女の心配してみる。







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“今日安室さんいて良かった〜♡”

“最近、うちらがここに来る時、全然いなかったから寂しかったんですよ〜？”






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若いって素晴らしい。

思ったことをストレートに口に出せて、その上ボディタッチとかも至って自然に出来る。





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まだ小学生かと思われる小さな少女から、
女子高生、それから常連のおばあさんまでも。

ここにいる人達の心を掴んで離さない。






“安室透”という人は、見事なまでにこのお店に溶け込んでいて、私の知る降谷さんとは別人のようだった。







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安室｢ご注文はなににいたしますか。｣

｢あ……、ぁ…えっと…、紅茶とランチセットで…！｣






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うわ…、なんか変な感じだな、
安室さんに話しかけられるのは。




昨日の夜も普通に話していた人と、同一人物なのに、芸能人に会ったみたいに緊張してしまう。








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安室｢かしこまりました。ごゆっくりどうぞ。｣

｢…ぁ…、は、はい｣





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ごゆっくり、なんてきっと1mmも思ってないでしょ…！

女子なら誰もが堕とさてしまいそうな笑顔の裏に、
“飯食ったらとっとと帰れ” の文字が見えてきそうだ。








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