237吠え ページ10
正体が父だとわかると
私を支配していた恐怖は吹き飛び
ふつふつと怒りが湧いてくる
あ「何をしに来た…ッ!」
狼王「…………」
相も変わらず何も語らない琥珀に苛立ちが募り
脳裏を過った夢の光景
あ「私も殺すのか……?」
狼王「…………」
あ「母様を殺したようにッ!!」
狼王「……っ…!」
初めて
微かに揺れた琥珀と息を呑む様な音
それらを遮るように閉められた扉
それを確認すると全身から力が抜けどっと疲れが押し寄せてくる
あ「っはぁーー…………」
溜息を吐いて毛布に顔を埋める
ぐるぐると回り絡まる思考
先程の
僅かに揺れたあの瞳は一体何を現していたのか……
先程みた夢
普段はお淑やかで落ち着いた雰囲気を纏う母様
母様はいつも白い手袋をつけていて、顔以外の肌の露出を一切しない人だった
何時もは落ち着いた母様も
美しく可憐な母様
若葉色の長い豊かな髪が美しかった
母様の鈴の様な声
可憐な笑顔
全て大好きだった
私は母様が大好きだった
大好きだった母様はーーー……
一度も私には触れてくれなかった
それでも私は大好きだった
母様が大好きだった
なのに
夕日に赤く照らされながらも分かる血の赤色
それが母様を染め上げていてーーー……
美しく結われていた緑髪も床に広がり血に染まり
その色を失っていた
ボロボロに破れていた服
母様の病的なまでに白い脚が露わになっていた
その服も血で赤黒く染められていた
母様の奇麗な顔も血で汚されていて……
なのに顔はどこか穏やかに見えた
家の中は荒らされて物が散乱して水の入っていた花瓶が床に散らばっていた
その中でも母様は美しかった
ただただ美しかった
濡れた頬も血に塗れた全身も
普段の母様とはかけ離れているけれど
母様は何時だって美しい
世界で一番美しい女性だと思っているし
未来永劫それは変わらない
母様の笑顔
やさしさ
あたたかさ
全て奪われた
どうしてこんなことになってしまったのか
考えても答えは出てこない
あ「母様……」
『なあに、A?』
返事はもう返ってこない
あ「母、様……」
『A〜。今日は、ロボの育てたトマトが沢山取れたのよ』
無邪気な母様はもういない
あ「かあさま……」
『Aの髪は奇麗な銀色ね。ロボの色を継いだのね』
大好きな母様は
あ「か…あっ……さ、ま……っ」
『……』
もういない
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ポンズイ - 強制じゃ無いんで、気にしなくても良いですよ！ (2018年8月10日 17時) (
レス) id: 8014d49c6f (このIDを非表示/違反報告)
ポンズイ - 僕も尾白君オチが良いと思います！！出来ればで良いですが、出来たら尾白君オチにして貰えませんか？？ (2018年8月10日 17時) (レス) id: 8014d49c6f (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - この小説とてもとても面白いと思います！！良かったらなのですが、オチは尾白君にして貰えませんか？もし良かったらでいいので！！ (2018年8月2日 18時) (レス) id: 3707f5c19b (このIDを非表示/違反報告)
ポンズイ - この作品、滅茶苦茶感動しました！！これからも、頑張って下さい！！応援してます！ (2018年7月8日 1時) (レス) id: 8014d49c6f (このIDを非表示/違反報告)
満月 - 更新頑張って下さい^▽^応援してます！ (2018年6月21日 13時) (レス) id: 755e555840 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アルマ☆ | 作成日時：2018年6月4日 15時
