234吠え ページ7
死柄木「Aちゃん。ほら、口開けろよ」
あ「…………」
何だこの状況
どうしてこうなってしまったのかーーー……
黒霧に何か作らせると言った死柄木弔に脱出の為に礼を言い
従順なふりをしたところ
明白に様子の変わった死柄木弔が部屋を出ていき
暫く時間が経ってから戻ってきた奴の手には湯気を立てる器が5指で触れない様に乗せられていた
食欲が湧くような匂いを嗅ぐと空腹を主張して音を立てる私の腹
此方をみてにたにたと手の向こうで笑う死柄木弔が嫌で薄いボロボロの毛布を手繰り寄せた
引き攣るような笑い声を出しながらベッドに近づいてくる死柄木弔
反射的に気怠い身体を起こすと、死柄木弔がベッドに腰掛け
その重みでベッドがギシリと悲鳴を上げる
死柄木弔が持っている器の中身は……鶏肉や小さく切られた色とりどりの野菜が入ったおじや……だろうか?
意外とまともそうな食事が出てきた事に驚きが隠せない
これをあの黒霧が作ったのか……?
全く想像できん
そうやって私が呆けていると、おじやをのせた木のスプーンが口元に差し出され
冒頭の台詞に至るのである
死柄木「……何だよ、これは嫌いか?」
一向に口を開けない私に苛ついたのか手の向こうの瞳が歪む
仕方なしに口を僅かに開けると、スプーンが口内にねじ込まれた
あ「むぐッ!?」
死柄木「あー…ごめん」
形だけの謝罪を口にしながら楽しそうに細められる赤い瞳
口からスプーンが引き抜かれ、また米を掬い差し出される
口内に残っていたおじやを飲み込み、口を開けると再び食べさせられる
しかし、一度目の様に乱暴ではなかったので咽ることはなかった
その後も黙々とこの作業が続けられ
もうすぐで器の中も空になろうとしていた
悔しいが……美味い
そして食べやすいい
消化にもよく美味いなんて……
餌付けられているみたいで悔しいが
食わなければ生きてはいけない為、大人しく口を開けておく
最後の一口になった時
ふと死柄木弔が呟いた
死柄木「……そんなにこれが美味いのか?」
心底不思議そうに首を傾げている死柄木弔が器を見つめている
改めて死柄木弔を見つめる
不健康なまでにやせ細った身体
まともな食事をとっていない事が容易に想像できた
伸びきった爪を生やした細い指に握られたスプーンをすっと引き抜き、器も同じ様に手中に収める
手の向こうで見開かれた瞳が奴の驚きを現している
器から最後の一口を掬い、差し出す
死柄木弔は唖然として私とスプーンを見比べ
顔の手に指をかけた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 521人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ポンズイ - 強制じゃ無いんで、気にしなくても良いですよ！ (2018年8月10日 17時) (
レス) id: 8014d49c6f (このIDを非表示/違反報告)
ポンズイ - 僕も尾白君オチが良いと思います！！出来ればで良いですが、出来たら尾白君オチにして貰えませんか？？ (2018年8月10日 17時) (レス) id: 8014d49c6f (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - この小説とてもとても面白いと思います！！良かったらなのですが、オチは尾白君にして貰えませんか？もし良かったらでいいので！！ (2018年8月2日 18時) (レス) id: 3707f5c19b (このIDを非表示/違反報告)
ポンズイ - この作品、滅茶苦茶感動しました！！これからも、頑張って下さい！！応援してます！ (2018年7月8日 1時) (レス) id: 8014d49c6f (このIDを非表示/違反報告)
満月 - 更新頑張って下さい^▽^応援してます！ (2018年6月21日 13時) (レス) id: 755e555840 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アルマ☆ | 作成日時：2018年6月4日 15時
