265吠え ページ38
轟「ぎん……っ」
あ「……しょーと」
私を痛い程抱きしめるしょーとの背中に腕を回すことが出来ない
力なく下げられた腕に力が入らなかった
耳元でしょーとは何度も「ごめん」と呟く
苦しそうに悔しそうに
その時に思い出した
合宿上のある林間で最後に見たしょーとの表情を
きっと彼はあの時から悔いていたのだろう
私と父に最も近かったのはしょーとだから
緑谷が爆豪勝己を奪われ慟哭したように
……そう、考えるのは
私にとって都合がよすぎるだろうか……?
轟「A……っ」
耳元でしょーとの声が聞こえると
彼と出会ってから今日までの彼との記憶が蘇ってくる
初めて会ったとときは……夕暮れの人がいない寂しい公園で
私がベンチの下で……しょーとがベンチの下を覗き込み私に手を差し伸べてきた
次に会ったのも寂しい公園
私がベンチの下でしょーとがベンチの上
彼がその日の出来事や母親との事、将来の夢、父親への恐れと疑念を語ってくれるのを私は黙って聞いていた
それがほんの数日続き……しょーとは来なくなった
彼と別れて約10年
再び出会ったのはヒーロー育成教育機関の最高峰……雄英高校1-A
当初の彼の印象は決して良いものではなかった
戦闘訓練で敗れたというのもあるが……何をしても……私は彼より下だった
U S Jの時は冷静な奴だと思った
冷静に脳無を″個性″で氷漬けにしたあの姿は同い年にしては戦闘経験の豊富な男なんだろう、と
そして、あの……雄英体育祭
彼が異常に緑谷に攻撃的であったそしてかつてない程の怒りを滲みだしていた
私は全ての力を出さない彼に苛立ちを募らせ一回戦……約10年振りに″狼″の姿となったのだ
そして……しょーとが″
私もあの公園でしょーとを思い出した
それから
彼は私を″ぎん″と呼ぶ
時々、Aとも呼ぶが
私は彼をしょーとと呼んでいる
体育祭以前とは全く接し方が変わった私達を周りは不自然に思っていたようだ
特に透がとても驚いていて尾白をよくばしばしと叩いていたっけ……
なんてことを考えながら未だに私を掻き抱くしょーとを見ると
体が僅かに震えているらしい
抱きしめ返してやりたいが……
しょーとは
将来、ヒーローと成り得る人物である
私が……憎むべき敵
母様と父さん……私の人生を崩壊させたヒーロー側の人間
嗚呼
やはり
私は震える君を抱きしめて上がれらない
ごめんね
轟「A…っ」
しょーと
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 521人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ポンズイ - 強制じゃ無いんで、気にしなくても良いですよ！ (2018年8月10日 17時) (
レス) id: 8014d49c6f (このIDを非表示/違反報告)
ポンズイ - 僕も尾白君オチが良いと思います！！出来ればで良いですが、出来たら尾白君オチにして貰えませんか？？ (2018年8月10日 17時) (レス) id: 8014d49c6f (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - この小説とてもとても面白いと思います！！良かったらなのですが、オチは尾白君にして貰えませんか？もし良かったらでいいので！！ (2018年8月2日 18時) (レス) id: 3707f5c19b (このIDを非表示/違反報告)
ポンズイ - この作品、滅茶苦茶感動しました！！これからも、頑張って下さい！！応援してます！ (2018年7月8日 1時) (レス) id: 8014d49c6f (このIDを非表示/違反報告)
満月 - 更新頑張って下さい^▽^応援してます！ (2018年6月21日 13時) (レス) id: 755e555840 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アルマ☆ | 作成日時：2018年6月4日 15時
