240吠え ページ13
トマトは嫌いだ
昔は大好きだったけれど
あの日から
母様が死んだあの日から
私はトマトが大っ嫌いだ
母様はトマトが大好きだった
特に父が育てたたトマトが大好きだった
父がトマトを収穫する度に
母様は頬をトマトの様に赤く染めて喜んでいた
そしてその日は必ずと言っていい程料理にトマトがふんだんに使われる
おかげで食卓は真赤な料理が並ぶ
母様はそれを見ては
『……作りす過ぎちゃったわね。いやだわ、私。燥いじゃって』
頬を染めながら溜息を吐き苦笑を零す母様を見て
私と父は料理をひたすらかき込んだ
特に父は大食漢といっても違わないほど、よく食べる男だった
……私にもそれは言えてしまうのだけれど
私は必ず言う様にしていた
『おいしいよ、母様!』
『…………』
『まぁ…!』
私が母様をみて『おいしい』というと
父も料理を口いっぱいに含みながら頷く
そうやって大量のトマト料理を食べる私達を見て
母様は頬を赤く染めながら嬉しそうに微笑み
料理を食べていた
昔はトマトが大好きだった
父が育てたトマトが好きだった
母様が作るトマト料理が好きだった
3人で食べるトマト料理が大好きだった
けれど
今はトマトが大嫌いだ
真赤なトマトが大嫌いだ
母様を思い出すから
母様の赤い頬を思い出すから
母様のトマト料理を思い出すから
もう二度と食べれないと知っている
トマトが嫌いだ
3人で囲んだ食卓を思い出すから
もう戻れないと知っている
母様はもういない
分かっている
私が弔ったから
わかっている
母様が眠っている場所も知っている
私だけが知っている
けれど母様に顔向けできない
母様の墓前で詫びさせる
それだけを考えてきたのに
時々その事を忘れそうになる自分が居たから
楽しかった
私には楽しすぎた
ふと忘れてしまう
そしてふと
そんな自分に恐怖を覚える
激しい怒りを忘れ
平和ボケしていく自分に寒気を覚えた
『だめだヨ、Aネエサン。憎しみ忘れるの良くない。今、幸せ?楽しい?よくない、良くないヨ。そんな普通の″人間″みたいな感情もっちゃだめだヨ。
そうだな″ツイオク″
私は平和ボケしている
良くない、な
今、お前の言葉を思い出すのは
どんな意味があるのだろうか
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ポンズイ - 強制じゃ無いんで、気にしなくても良いですよ！ (2018年8月10日 17時) (
レス) id: 8014d49c6f (このIDを非表示/違反報告)
ポンズイ - 僕も尾白君オチが良いと思います！！出来ればで良いですが、出来たら尾白君オチにして貰えませんか？？ (2018年8月10日 17時) (レス) id: 8014d49c6f (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - この小説とてもとても面白いと思います！！良かったらなのですが、オチは尾白君にして貰えませんか？もし良かったらでいいので！！ (2018年8月2日 18時) (レス) id: 3707f5c19b (このIDを非表示/違反報告)
ポンズイ - この作品、滅茶苦茶感動しました！！これからも、頑張って下さい！！応援してます！ (2018年7月8日 1時) (レス) id: 8014d49c6f (このIDを非表示/違反報告)
満月 - 更新頑張って下さい^▽^応援してます！ (2018年6月21日 13時) (レス) id: 755e555840 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アルマ☆ | 作成日時：2018年6月4日 15時
